★第二話★ 言ってみればストレスを二十一回掛け算したみたいな気分?
流川を食堂に連れて行き一番うまいという評判の料理を出してやることに…。
まあ、それで事が終わるならいいけど……。
しかし!!そんな僕の考えは覆された。
「あ〜!!うまかった!!」
それはどうも……。
「実はもう一つ頼みがあるんだよね〜?」
「マジスカ?」
「マジっす」
もう、いい加減にしろといいたいところだったが事をバラされると怖いので仕方なく聞いてみた。
「なんだ?」
流川はよし!!かかった!といった顔をして
「実は私アパートの家賃払えないで困ってるんだよね?」
はっ…………?
えっ…………?
僕は初め彼女の言った言葉の意味が分からなかった。
「だ〜か〜ら〜、ここに住めるようにあのさっきの店長っぽい人に頼んで欲しいんだけどな〜」
僕はわが耳を疑ったよ。
何しろここに住まわせろってことだろ?
なあ、そうなんだろ?
これを嘘と言ってくれたらもう、一回ぐらい飯おごってやってもよかったんだけど…。
そんなこと言ったら
「もう、一回飯おごってもらうよりここにいっそ住んじゃったほうが毎回飯食べれるし」
何!?
じゃあ、何か?このストレスの溜まる金星にまたストレスの要因が増えるのか?
そうなのか!?えっ!?
朝に今にも死にそうな状況で昼飯何食べる?って聞かれるぐらいストレスが!!
そしてその後に友子さんにダメもとで説明したら「いいよ」とか言いやがった!!
一つの屋根の下で若い男女が一緒に住んでいいものか!?いや、ダメだろ!!99.9%ダメだ!!じゃあ、残りの0.1%はいいのか?とか聞くな!
そりゃあ少しはうれしい……ってなわけねぇだろ!
僕の命…精神力はもつのだろうか…?
僕の残酷ともいえる生活がスタートした…。
だが、不思議なことにそんなに不自由はなかった…。
まあ、たまに
「今日の夕飯は?」
「今日はマッサージの予約が入ってるから遅くなるよ」
「何時?」
「九時ぐらいかな?」
「く、九時!?私を餓死させる気?」
「そんなこと言ったってお客がいるんだからしょうがないじゃないか!」
「もう!分かったわよ!」
という口喧嘩があったり…
「ここ、分かんないんだけど…」
「そこは……こうだと思うよ」
「そっか、サンキュ」
という宿題や勉強の教えあいがあったり…
あるいは……
「さて風呂掃除でもすっか!!」
と言って女性の方の浴場に清掃の用事で入った(時間帯は入浴禁止の一時から三時の間である)のにいきなり水をぶっかけられる。
「な、なんだ!?」
「何、入って来てんのよ!ここは女湯よ!」
「ちゃんと、この時間に清掃するって書いてあっただろ?」
「知らないわ!!さっさと出てってよ!この変態!」
「何だと!!…うわっ!!」
またも、水をぶっかけられる始末……耐えられなくなりとっとと男湯の方に向かい清掃をした。
とまあこういう具合でうまく振舞っている……と思う。
あっちがどう思っているかは知ったこっちゃない!
それに一応金星に住んでいるだったらそれなりの役割をしてもらわなければ!!
「え〜!!接客!?」
「そう、接客。まあ、料理が作れるっていうなら話は別だけど…」
友子さんが僕と流川を部屋に呼んだと思ったら流川の役割のことだった。
あんまり僕を呼ぶ意味はないと思う……。
しかし、呼ばれたからには来ないとあとが怖い…。
「料理できるの?流川」
「うぅ……」
僕は一発で分かったね。
この返事は間違いなくできないという返事だ…。
正直言って接客とはおいしい仕事だと僕は思う。
だた、客の案内や荷物運びなどをしていればいいのだから。
僕がやっているマッサージや料理なんか比べ物にならないほど大変だと思う。
僕ってえらい!
ただ、バカなだけなのはこの際伏せておく。
「無理ですよ!接客なんて!」
無理もなにもない。じゃあ、僕のマッサージの手伝いでもする?
まあ、君なら客の肩を壊しかねない……。
「じゃあ、他に仕事なにする?」
友子さんがだるそうに聞く。
そりゃあだるくなる気持ちも分かる。
料理…×
接客…×
マッサージ…おそらく×
この他と言ったら予約の電話対応と風呂掃除ぐらいしかないぞ。
「他って……」
流川は僕を見る。
いや、見られたって仕事しなくていいよなんて言えないし…。
「何の仕事があるの?」
「残りは電話対応と風呂掃除……それからお客さんが泊まる部屋の掃除とか…」
友子さんがそれぐらいというように頷く。
「う〜ん………分かりました。接客します……」
僕はこのときお客が減らないかかなり不安だった…。
続く…(のか?)