★第参話★ 波乱万丈だろ?

 

 

案の定僕の予感は的中した。

何がって?

そんなこと決まってるじゃないか!

客が減ったんだよ。

………まあ、マッサージの客は減る傾向がまったくなかったが……。

今は一週間に三日高校に通い一週間に二日はマッサージづくめである。

土日は暇があれば学校へ行って補修を受ける。

暇がない………ということはマッサージの客が殺到しているということだ。

「なあ、流川……君いい加減客に喧嘩売るのはやめてくれよ…」

僕は本当の想いでこの言葉を発した。

しかし、返ってきた言葉といえば

「はぁ!?そんなの私の勝手でしょ!」

はぁ〜…こんなやりとりが毎日二回は必ず発生している。

しかも客を喧嘩をして止めに入るのは必ずといっていいほど僕が止めている。

おかげでマッサージ客からも文句を言われる始末。

こんなことなら東京で一人暮らしをしていればどれだけ幸せだったことか……。

大きなため息をつくには十分すぎるほどな理由を持っている。

誰かあの鬼を止めてくれないだろうか…?

一万払ってやってもいいからあの悪魔を止めてくれ。

しかし、笑顔は無茶苦茶可愛いので見るたびに生きててよかったと思ってしまう自分がいた。

流川が僕と友子さんの金星に住むようになってから一週間後……。

 

しかし!!!

あるとてつもない出来事が起きてしまう!!!

あのときは死にたいと思ったよ。

一ヶ月ぶりに………。

 

あの日学校に行きいつものように過ごせると思った。

だけどやっぱり僕の運命は優しくないとその日確実に実感した。

何人かの女子の話を盗み聞きしたときだった。

「ねぇ、このクラスの誰か分からないけど二人で一緒に住んでるらしいよ」

「えぇー!!嘘っ!!」

「本当!!金星っていう温泉屋があるじゃない!?あそこに流川さんが入っていくのを見たのよ!」

「え〜あの流川さんが!?」

「そうよ!!」

そのあとも何か話していたようだが僕は金星という名前が出てから心臓がマシンガンの連射ぐらいのスピードで音を鳴らしている。

気分が悪くなり保健室へ行こうとして教室のドアを開けた瞬間!!

「ねえ、柳沢君でしょ?あそこの金星っていう温泉屋から通っているっていう?」

……心臓をじかに手で締め付けられたような感じがした。

「そ、そうだけど!?…」

こ、声が裏返った。

「でさ、流川さんって一緒に住んでる!?」

「そ、それは……その…」

そら来た!!!!!これを言われると思った!!!

どう答えればいいか分からない!!

そのとき最悪のタイミングでヤツが来た!!

シャア!シャア!シャア!!!

違う、違う!へんなもの出すな!

あれだ……あいつだ!流川雪恵という人間界の死神が来たんだ!

「あっ!?流川さん!!」

「どうしたの?」

「あのさ〜金星に住んでるって本当!?」

それが聞こえた途端僕は駆け出していた。

教室を出て宛てもなく走る。

教室からの声が聞こえなくなるまで走る。

しかし『えー!!』という声が聞こえた。

あ〜もう終わりだな……。

こんな若いときから絶望を感じてだんだん走るスピードが落ちていく。

後ろを振り向くとやはり流川も同じ気持ちだったのか走ってくる。

すぐさま僕は横にあった男子トイレに隠れた。

「何で僕が隠れなきゃいけないんだ?」

一人つぶやいたが無人の男子トイレだから返事は当然返ってこない。

もう、大丈夫かなと思い一分くらい経ってから男子トイレから出た。

保健室に行こうとしたが流川が真っ先に行きそうな場所だと思ったので方向を変えこの学校で唯一屋上に上ることができるところに向かい屋上に行った。

屋上には誰もいなかった。

当たり前だ。もう、授業がはじまる五分前だからな。

僕はどうするかって?なるようになれという言葉はいい言葉だ。

まさに、その通りこれから僕が怒られようがクラスの笑いものになろうが男子からうらやましいような悔しそうな目で見られようが女子からいやらしいものを見る目で見られようが知ったことではない!

なるようになれ!時間が止まることはないんだから!

時間は戻らないし止まることを知らない。

ただ前に進むだけのものでしかない。

誰だったかこう言っていた。

『いつか人間は時さえも支配することができるんだ』

無理だね。

科学的には分からないがもし支配できるときが来るのなら余裕で一週間ぐらい前に戻してるね。

そして住み込みっていうのを断るんだ。

まあ、所詮夢さ。

夢は夢でしかない。それが過去にも現実にも未来にもなることはない。

「は〜……波乱万丈だな〜」

僕は何故だか分からないが少し上機嫌そうな声でこの言葉発していた。

 

続く!!(マジ!?)