NEON GENESIS EVANNGELION REQUIEM OF SPIRIT

 

 

『いいわね!?シンジ君』

「はい」

『最終安全装置解除!!』

ミサトの命令とともに初号機の両肩のすぐ後ろにある安全装置が解除される。同時に初号機が少し猫背になる。

『エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!!』

シンジはサキエルをにらみつける。相手は微動だにしない。

『シンジ君、リツコに教わったとおもうけどレバーを握ってる間イメージしたとおりに動くから、とりあえず今は使徒と間合いをつめて』

「はい」

シンジはレバーを握り走るイメージを浮かばせる。するとエヴァはサキエルを中心にまわるように走る。

そしてサキエルと距離はあるが真横ぐらいに移動した。

「ミサトさん、次はどうしましょうか?」

『とりあえず、相手の出方を見て、相手の攻撃方法は爪の攻撃と目からの光線よ』

「分かりました」

シンジはミサトに教えられて肩のウェポンラックからプログレッシブナイフを装備する。

「さあ、どう動くのか・・・」

シンジは言われたとおりサキエルの出方を見てじりじりとその距離を縮めていった。

だが、使徒は突っ立っているだけではなかった。突如として目からの光線を放った。

「見切った!!」

シンジはそれをジャンプで避けてサキエルとの間合いを一気につめる。

そしてサキエルの頭にプログナイフを突きたてようとするがそれはオレンジ色の八角形の壁のようなものに阻まれた。

「な、なんだ、これ!?」

シンジはなおもプログナイフを突き立てるがまるで効果がない。

『シンジ君・・』

「り、リツコさん!!一体これは!?・・・・・・・うわっ!!!」

シンジは話に気が散っていたのか使徒の光線を左腕部に受ける。

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

『ま、マスター!!』

「うぐぅ・・・・畜生!!」

シンジはいったん引くとサキエルを踏み台にしてジャンプし、サキエルの真後ろに着地する。

「ここなら!!」

シンジはプログナイフを突き立てる。だが、またもや壁のようなものが邪魔をする。

「くっ!?・・・リツコさん!!あれは一体なんなんですか!?」

『あれはA.Tフィールドと呼ばれるものよ。理論上はエヴァも出せるはずなんだけど・・・・・』

「エヴァも張れる?」

シンジはこのことにかすかに可能性を見た。

「できるか?」

『シンジ君、どういうつもり!?』

「僕の能力(ちからって読みます)を使います」

『待ってシンジ君!!おそらく、エヴァで能力を使えば精神的にダメージが!!』

『ミサトさん、マスターはたぶん大丈夫です。伊達に神龍術の月光のルシフェルをやってませんから』

「そういうことです。行きます!!」

シンジはプログナイフを構えると自分の能力を注ぎ込む。

するとプログナイフは少し長くなる。

「さっきのおかえしだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

シンジはサキエルに向かって走りサキエルは目から光線を発射するがシンジは首を横に傾けて回避する。

『す、すごい!!』

「もらったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

シンジはプログナイフを一振りする。

だが、サキエルはA.Tフィールドを発生させる。それで防御しようとするがそれは突然消えてなくなる。

『どうなったの!?』

『初号機がA.Tフィールドを展開しています。同時に使徒のA.Tフィールドを完全に中和しています』

その瞬間サキエルの胴体に亀裂が入った。

その瞬間サキエルは足と手を伸ばして初号機に絡みついた。

「な、なんだ、こいつ!?」

『自爆する気よ!!逃げて!!』

だが、ミサトの声もむなしくサキエルは自爆した。

轟音とともに十字を模った爆発が起こった。

『エヴァは!?』

『マスター・・・・』

みんなはあの爆発では初号機はただではすまないと思っていたがしかしその考えはまったく逆をいっていた。

爆発の焔の中に初号機が左腕部以外は無償でたっているのである。

おそらくA.Tフィールドを瞬時に張ったのだろう。

『目標、完全に沈黙!!』

『初号機パイロットともに生存を確認!ただ、気絶しているようです』

『無理もないわね・・・・期待回収斑急いで』

『パイロット保護を最優先に』

『よかった〜』

ミサトは黙って床に腰を下ろしているリリーナを見て「本当は心配だったんだな」と思っていた。

 

 

シンジはネルフの病院の一室で目を覚ました。

「知らない、天井だ」

 

第弐話見 

   知

   ら

   ぬ、天井

 

―某所―

「使徒再来か、あまりに唐突だな」

「十五年前と同じだよ、災いはなんの前触れもなくおとずれるものだ」

「幸いともいえる、我々の先行投資が無駄にはならなかった点ではな」

「そいつはまだ分からんぞ、役に立たなければ無駄と同じだ」

「左様、今は周知の事実となってしまった、使徒の処置、情報操作、ネルフの運用は全て適切かつ迅速に処理してもらわなければこまるよ」

「その件に関してはすでに対処済みです。ご安心を」

―エヴァ及び使徒回収現場―

ここでは昨日の使徒との対決の処理が行われていた。

使徒を倒すのは子供ということだがこういうことは時代が変わっても大人の仕事なのだ。

そこのテントに宇宙服のような特別な服を着ているミサトとリツコがいた。リツコは何かをしていてミサトはテレビを見ながら団扇で扇いでいる。

『昨日の特別非常事態宣言に関しての政府発表が今朝、第二・・・』

そこでミサトがチャンネルを回す。

『今回の事件には・・・』

そこでまたミサトがチャンネルを回す。何かを確認しているようだ。

「発表はシナリオD−22か」

そこでテレビを消して

「また、事実は闇ん中ね」

このミサトの言葉にリツコがはさむ。

「広報部は喜んでいたわよ、やっと仕事ができたって」

「うちもお気楽なもんね〜」

「どうかしら?・・・本当はみんな怖いんじゃない?」

「あったりまえでしょ・・・」

―再び某所―

「ま、そのとおりだな」

「しかし、碇君。ネルフとエヴァもう少しうまく使えんのかね?」

「零号機に引き続き君らが初陣で壊した初号機の左腕の修理代・・・国が一つ傾くよ」

「聞けばあのおもちゃはきみの息子に与えたそうではないか」

「人、時間、そして金。親子揃っていくらつかったら気が済むのかね?」

「それに君の仕事はこれだけではあるまい?」

「人類補完計画、これこそが君の急務だ」

「左様、その計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ。われわれのね」

「いずれにせよ使徒再来における計画のスケジュールの遅延は認められん、予算については一考しよう」

「では、あとは委員会の仕事だ」

「碇君、ご苦労だったね」

「碇、後戻りはできんぞ」

「分かっている、人間には時間がないのだ」

 

―病院の廊下―

シンジは自分の腕に巻いてある包帯を見つめていた。

「確かにあのときは左腕に攻撃を受けたけど・・・・どうして僕の体に達してるんだ・・・エヴァの中に居たはずなのに・・・」

「マスター!!」

横を向くとリリーナが走ってくる。

「リリーナ、一体どうしたの?」

「どうしたの?・・じゃ、ありませんよ。なんで病室から出ているんですか?」

「それは・・・・あんまり普段と変わらなかったから・・・左腕以外」

「左腕?」

リリーナはシンジの言う左腕を見る。そこには包帯が巻かれていた。

「痛むんですか?」

「いいや、曲げると少し痛いだけであんまり痛くない」

「そうですか」

しばらく二人は窓の外の景色を見ていた。

昨日はあれだけの戦闘があったのに今は木々が生い茂りビルが立ち並んでいる。

「人が生きてるって証拠だよな」

「何がですか?」

「ん?・・・・・・昨日戦闘があったのに今日はこんなに木々が生い茂っていてビルが立ち並んでいるのはさ・・」

「そう言われればそうですね」

そんな話をしていると廊下の向こうからベッドが運ばれてきた。

その上に横たわっている少女は昨日第七ケイジに運ばれてきた、綾波レイという少女だった。

シンジが駆け寄ると運んでいた看護婦二人はベッドを止めた。

「大丈夫?」

レイは無言のまま頷く。少し頬が赤い。

「昨日はごめんな、僕の所為で・・」

レイはまたもや無言のまま首を横にふる。おそらく「いいの」と言っているのであろうか。

そして去り際に口を五回ぐらい変形させた。シンジはレイが何を言いたいかを悟った。

『ありがとう』・・・・か」

「へっ?」

リリーナがいきなりつぶやくシンジの顔を見るがそのときにはもう、普通の顔に戻っていた。

―回収現場から引き上げのトラック内―

リツコは電話を取りなにやら話をしている。

対してミサトは非常に恥ずかしい格好をしてクーラーで涼んでいる。

「ふう、やっぱクーラーは人類の至宝ね〜」

間も無くしてリツコは電話の受話器らしきものを所定の位置に戻してミサトの方を向き、

「シンジ君、意識が戻ったそうよ」

ミサトは急に真剣な顔になり

「で、容態はどうなの?」

「外傷はエヴァに乗っているときにうけた左腕の打ち身、脳には何にも問題はないそうよ」

「そう、よかった」

―病院・ロビー―

シンジたちはミサトから迎えに行くという連絡を受けて荷物をまとめて病院のロビーで坐って待っていた。

「ミサトさん、遅いですね、マスター」

「・・・・・・・」

「・・・どうしたんですか?マスター」

「ないんだよ・・・・」

「何が!?」

「セーブがないんだよ・・」

「ええっ!!」

「あとでミサトさんに聞いてみるか」

そのとき向こうから走ってくる足音が聞こえる。

リリーナとシンジがそっちの方向を見るとミサトが走ってきていた。

「はぁはぁ、お待たせ!」

「遅いですよ〜」

「まったくだ・・・・あ、そういえばミサトさん」

「何?」

「僕の腕時計どこにあるんですか?」

「ああ、あれね・・・わたしが預かってるわ」

ミサトはポケットからセーブを出してシンジに渡す。

シンジは腕につけて電源を入れた。

[も〜ご主人、ひどいでぇ!!]

「悪い、悪い・・・僕だって大変だったんだから」

「ねえ、シンジ君、何それ?」

「これですか?・・・・これは僕が一年の歳月を経て作り上げた補助コンピューターです。名前はセーブで人工知能も搭載です」

「へえ、そ、そう」

「あ、それと・・・・あなたたちの住むところはあたしの家だからね?」

「そ、そうなんですか!?」

「ということだからさっそくだけど帰りましょう!!」

二人は半ば強引にミサトと同居ということになって帰路にたった。

―車内―

「すまないけどちょっち寄り道するわよ」

「どこですか〜」

「ふふ、い・い・と・こ・ろ♪」

ミサトが運転する青いルノーは第三新東京市が見渡せるところにとめる。

「静かでさびしい町ですね」

そのシンジの言葉にミサトは答えず腕時計の時間を見る。

「そろそろだわ」

ミサトがつぶやいて間も無く町中にサイレンが鳴り響いた。

シンジはドキっとして周りを見るが何にもない。リリーナも同じようにしている。

すると何にもなかった町の地面が開きビルが次々に生えてくる。

「すごい、ビルが生えてく!!」

「これが使徒迎撃要塞都市、第三新東京市」

ミサトはシンジの方を向き

「そして、あなたが“守った”町よ」

 

NEON

GENESIS

EVANGELION SPIRIT OF REQUIEM

EPISODE:2

   I DON’T KNOW THIS CEILING AND CITY(日本語訳:ぼくはこの天井や町を知らない)

 

―コンフォート17―

ミサトの青いルノーは駐車場にとめシンジとリリーナは荷物を持たされてエレベーターで上まで昇った。

「シンジ君とリリーナちゃんの荷物をもう届いてると思うから」

そしてミサトは一室のキースロットにカードキーを入れて部屋の扉を開ける。

部屋からの光でそこの一帯だけ少し明るくなる。

「実はわたしもこの町に引っ越してきたばっかりでね〜」

「さあ、入って」

「「お、お邪魔します・・」」

ミサトは「まったく、もう」という顔をして

「二人とも、ここはあなたたちの家になるのよ?だ〜か〜ら〜?」

シンジとリリーナは二人とも顔を赤らめて小さく言った。

「「た、ただいま」」

ミサトは満足したように

「おかえりなさい」

その声と同時に扉が閉まる。

「まあ、ちょっち散らかってるけど・・・気にしないでね」

確かに見てみるとすごいゴミが溜まっているようである。でも、それ以外は綺麗に整理整頓されている。

「あの〜ミサトさん、買ってきたものはどうしますか〜!?」

「とりあえず、冷蔵庫の中に入れといて〜」

「は〜い」

「リリーナ、手伝って」

「りょうかいで〜す」

シンジはリリーナと協力して買ってきた野菜を冷蔵庫に入れる。少しビールが多めにはいっていたがこれは大目にみることにした。

「もう、入りませんよ、マスタ〜」

「ふう、仕方ない・・・・・・・?」

シンジはもう一つの大きい冷蔵庫を見つけた。

「ミサトさん!!こっちの冷蔵庫は!?」

「ああ、そっちはいいの。まだ、寝てると思うから!!」

「「寝てる!?」

意味が分からないといった顔でリリーナとシンジは顔を見合わせる。

冷蔵庫に魂でも宿っているのであろうか・・・・・どの道この二人の疑問はすぐに解決することになる。

しばらくするとキッチンからいい匂いがする。

「香ばしいこのにおいは!?」

「か、カレーですかね?」

実はミサトが二人の歓迎会というわけでカレーを作っているのだ。

味はどうだか分からないが・・・・。

そして運命のとき・・・・。

「「「いただきま〜す!!」」」

二人は意を決してカレーを口元に運び口を開き・・・食べる。

「「うっ、うまい!!」」

「そう、よかった!!」

そしてあっという間にたいらげてしまった。ミサトはそれをうれしそうに微笑んでいた。

そしてミサトはシンジに風呂を勧めてシンジは風呂に入るために脱衣所に向かった。

だが、そこには先客がいた。

「うわぁぁぁぁ!!!」

シンジは勢いよく脱衣所から出てくる。幸い服はきていた。

「なんなんですか!?あれ!?」

「あれって?」

「・・・・・ぺ、ペンギンがいるじゃないですか!?」

「ああ、彼は新種の温泉ペンギンで名前はペンペンっていうの、もう一人の同居人よ」

「ペンギンが飼えるマンションがこの世に存在していたなんて・・・・」

シンジは文句()を言いながらもしっかりペンペンと意気投合したらしく一緒に風呂に入っていた。

そして消灯時間。

「えぇ〜!!わたしとマスターが同じ部屋で寝る!?」

「ええ、ごめんなさい、明日には部屋が片付くと思うから・・・ね?」

「もう、分かりましたよ〜」

シンジは布団にリリーナはベッドに寝た。

「ねえ、マスター?」

「何?」

「へ、変なことしないでくださいよ!?」

「変なことって?」

「もう!!マスターのエッチ!!」

そう言って毛布を被られる。

「なんだっていうんだよ・・・・ったく、おやすみ、リリーナ」

「はい、マスター」

[わいも寝るでぇ・・・・ほな、]

セーブは勝手に電源が切れた。

 

その日シンジは夢を見た。

 

ここはどこだ・・・・

 

ここはなにもかもがない世界

 

つまりあんたしかいないってこと?

 

そのとおり

 

っていうかあんた誰?

 

我は含光と呼ばれている者

 

含光ってぼくがゆずりうけた殷帝剣の一振の?

 

そうだ・・・碇シンジよ・・・貴殿はこれから残酷な調べを聞くであろう・・・だが、決して諦めてはいけない・・・

 

大丈夫・・・自分の力を信じれば運命さえ変えられるんだ・・・・

 

ここでシンジの夢は終わりを告げた。

 

 

 

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