NEON GENESIS EVANGELION REQUIEM OF SPIRIT
―第一発令所―
「戻して!早く!」
そうミサトが叫ぶと初号機はもと来たゲートを戻るように地下に収容された。
そして発進とは逆の手順で初号機が第七ケイジに固定される。
『初号機固定完了』
「ケイジへ行くわ!あとよろしく」
「わたしも行きます!」
ミサトとリリーナはエレーベターで下に下がっていった。
その後リツコはエントリープラグを緊急排出させLCLを排水させた。
ミサトとリリーナがケイジに付いたときにはエントリープラグから座席の部分だけを取りケイジの通路に横たわっていたシンジがいた。
「シンジ君!」
「マスター!」
ミサトとリリーナの二人は担架で運ばれるシンジについて行きながら集中治療室で止まった。
決戦、第3新
東
京
第六話 市
―分析室―
ここは分析室で第五使徒ラミエルの能力が分析されていた。
初号機のバルーンが現れた瞬間加粒子砲で狙い撃ち。
そして防御能力は位相転移空間を肉眼で確認できるほどの強力なA.Tフィールド。
(*位相空間とはA.Tフィールドの形・・・八角系の壁のようなもの)
「それで目標の能力はどうなの?」
「目標は自分のテリトリー内に入ったものを自動排除するものと想われます」
「敵のA.Tフィールドは?」
「健在です。位相空間を肉眼で確認できるほどの強力なものが展開されています」
「攻守ともにほぼ完璧・・・まさに空中要塞か・・・」
「敵のボーリングマシーンは?」
ラミエルは初号機を撃破したあとネルフの直上に停止して地層を調べるときに使うようなボーリングマシーンで攻撃を仕掛けてきた。
「到達予想時刻は明日の00:06そのときにはネルフの22枚ある特殊装甲版をすべて通過しジオフロントに浸入してくるものと想われます」
「状況は芳しくないか・・・・・」
「白旗でも揚げますか?」
ミサトの隣にいたマコトが冗談めかして告げる。
「それもいいけど・・・やれることやっとかなきゃね」
そしてミサトは総司令公務室へと向かった。
―総司令公務室―
そこには冬月とゲンドウそれからヤイバがいた。
「目標レンジ外超長距離からの直接射撃かね?」
冬月が言う。その言葉がだだっ広い部屋に響く。
「そうです。目標のA.Tフィールドを中和せず高エネルギー収束体による一転突破しか方法はありません」
そしてヤイバが少し考えた末に言葉を放った。
「・・・・葛城一尉、MAGIはどう言っている?」
「スーパーコンピューターMAGIは賛成が2条件付賛成が1でした」
「勝算は8.7%ってところか・・・・」
そしてミサトが自慢げに
「もっとも高い数値です」
「・・・サードチルドレンは?」
「初号機専属パイロット、サードチルドレン碇シンジはわたしがここに来る前に回復したとの報告が入りました」
「そうか・・・司令、やらせてみれば」
「反対する理由はない。やりたまえ」
「はい」
―巨大エスカレーター―
「相変わらず無茶な作戦を立てたものね、葛城作戦部長さん?」
「無茶とは何よ、残り時間のうちに実行可能!さらに勝率はもっとも高いのよ」
「これがね・・・・」
ミサトとリツコはエヴァの武器が収納してあるところに向かった。
そこには全体的に白く、所々に青がまじっている異形のライフル(?)があった。
ポジトロン・ライフルである。
「うちのポジトロン・ライフルじゃあそんな大出力に耐えられないわ」
リツコがミサトをみる。
「どうする気?」
ミサトが当然じゃないとでも言うような顔をしてこう言った。
「決まってんじゃない、借りるのよ」
「借りるって・・・」
リツコは少し考えたそもそもエヴァの武器をレンタルしているところなんて日本中探してもないだろう。
だが、ミサトは借りるといっている。
現在軍といえば国連軍と戦略自衛隊・・・。
「戦略自衛隊?」
「そう、戦自研のプロトタイプ!」
そしてミサトは足早に戦略自衛隊つくば技術研究本部に向かった。
―戦略自衛隊つくば技術研究本部―
ここではミサトが一枚の紙をここの責任者のような者に見せている。
文面を見ると『徴発命令』と書いてある。
「以上の理由によりこの自走陽電子砲は本日15:00より特務機関ネルフが徴発いたします」
この言葉で責任者は
「かといって・・・・しかし・・・そんな無茶な・・・」
「可能な限り原型をとどめて返却するよう勤めますので・・・・・それじゃあ」
そしてミサトは上を見上げて
「いいわよーレイー!精密機械だからそうっとね!」
すると天井から零号機が顔を出してミサトの後ろにある格納庫を零号機がそうっと持ち上げた。
零号機のせいで壁が一部外れたのは言うまでもない。
零号機が運んでいるときマコトが不意に言い出した。
「しかし、A.Tフィールドをも貫くエネルギー産出量は最低およそ一億八千万キロワット。そんな大電力をいったいどこから集めるんですか?」
そのマコトの言葉にミサトは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「決まってんじゃない・・・・日本中よ」
そして今日本中では
「本日午後11:30より明日未明にかけて大規模な停電があります!」
というアナウスが流れていた。
―ネルフ本部―
『敵シールド第七装甲版を突破!』
すでにラミエルはネルフの七枚もの装甲版を突破していた。
「エネルギーシステムの見通しは!?」
ミサトが無線でそれぞれの部署についているものたちに確認を入れていた。
神奈川 新
『現在予定より3.2%遅れていますが本日23:10にはなんとかできます!』
「ポジトロンスナイパーライフルは!?」
今度は本部内の技術局第三課から返答が帰ってくる。
『技術部第三課の意地にかけてもあと三時間でなんとか形にして見せますよ』
「防御手段は!?」
次は第八格納庫から返答が来る。
『それはもう盾で防ぐしかないわね』
そう言ったリツコの前には盾の形とギリギリで分かるような形のものが置かれていた。
その隣にいたマヤは不安そうな声で言った。
『これが・・・・盾・・・・ですか?』
マヤが不安になるのも分かる気がする。
何しろところどころに傷が付いているのだ。
だが、リツコは安心させるようにこう言った。
『そう、SSTO(スペースシャトルのことだと思います)のお下がり。見た目はひどくとももともと底部は特殊電磁コーティングされてる機種だし。敵の加粒子砲にも17秒は耐えられるわ』
『二課の保証書つきよ』
「結構!」
そしてミサトはマコトの方を向き、
「狙撃地点は?」
「目標との距離、地形、手ごろな変電設備を考えるとやはりここです」
マコトが地図を指差した。そこは双子山の山頂だった。
「う〜ん・・・確かにいけるわね」
一呼吸置き、
「狙撃地点は双子山山頂!作戦開始時間は明朝零時!以後本作戦を『ヤシマ作戦』と呼称します!」
―病室―
ここにはレイとリリーナそれに運び込まれてきたシンジが横たわっていた。
シンジはまだ目を覚まさない。不意にレイがつぶやいた。
「碇君・・・また、エヴァに乗ってくれるのかしら?」
リリーナは考えてしまった。
確かにあんな痛い思いをしてまた同じ危険にさらされるようなものに果たして乗るだろうか・・・。
だが、リリーナは知っていた。シンジがどうしようもなく負けず嫌いなことを。
神龍術の稽古でも師匠に負けたときは悔しがるよりも笑顔で『もと修行する!』と強く言っていたからだ。
「大丈夫です・・・マスターはちゃんとまた乗るでしょう」
「どうして?」
「だって、マスターが一回負けて再度挑戦しないなんて考えられませんから!」
リリーナは笑みを浮かべる。それに吊られてレイも少しはにかむ。
そのときシンジが目を覚ました。
「・・・・ここは?」
「病室ですよ」
そのときリリーナとシンジの顔の距離は10センチあるかないかぐらいだった。
当然シンジはすぐにそれに気づきリリーナに離れるように促す。
「・・・敵はどうなったの?」
「敵はネルフ直上にてボーリングマシーンで本部まで進行中です」
「そうか、じゃあ、寝てられないな・・・」
「作戦はもう決まってるそうです。17:30にケイジ集合です」
するとリリーナは立ち上がり部屋を出て行った。
「・・・・・綾波も出撃するの?」
「・・・ええ、その予定だけど」
「そっか・・・じゃあ、よろしく」
シンジはレイに手を差し出すがレイは黙っている。
それ以前に困っているようだった。
「何?」
「握手・・・のつもりだけど」
「握手・・・って何?」
「・・・ええっと・・・簡単に言えば手と手を握り合わせることかな。それでお互いの仲を確かめるっていうか・・・そんな感じ」
レイは少し頬を赤らめてシンジの手を握った。
「よ、よろしく」
その後シンジは制服に着替えて軽く食事を取りケイジへと向かい、エヴァ初号機で発進し,双子山に向かった。
NEON
GENESIS
EVANGELION SPIRIT OF REQUIEM
EPISODE6 ReiU(日本語訳:レイU)
そして初号機が山頂付近にネルフで試作されたポジトロンスナイパーライフルをそうっと置く。
そしてミサト、リツコ、シンジ、レイが展望台のようなところに居る。作戦の確認をしているようだ。
ちなみにリリーナはミサトの代わりに現在指揮を執っている。
「・・・でも、こんな野戦向きじゃない兵機で大丈夫なのでしょうか?」
「仕方ないわよ、間に合わせなんだから・・・」
「本当に大丈夫なんですか?」
「理論上はね・・・でも、銃身や加速器がもつかどうかは撃ってみなきゃ分からないわ、こんな大出力で試射したこと一度もないから」
「本作戦における各担当を伝達します」
ミサトがこの作戦における担当を伝達する。
「シンジ君は初号機で砲手を担当」
「レイは零号機で防御担当」
「これはシンジ君の能力のタイプは全でレイが守だったからよ、それにシンジ君の方がシンクロ率が高いから」
「今回はより精密なオペレーションが必要なの。陽電子は地球の自転、磁場、重力の影響を得て直進しません。だからそれを修正するのを忘れないで、正確にコア一点のみを貫くのよ」
リツコが専門的なことを言っている。
これはシンジにとっては大分意味不明である。だが、最後の言葉だけは分かった。
「でも、それって練習してないんじゃないですか?」
「大丈夫。あなたはテキストどうりにやって最後に真ん中のマークが揃ったらスイッチを押せばいいの。後は機械がやってくれるわ」
「それと一度発射すると冷却は最充填、ヒューズの交換などで次に撃てるまで時間がかかるから」
その言葉に疑問を持ったシンジが言う。
「それじゃあ、もしはずれたとして敵が撃ちかえしてきたら!?」
「今は余計なことは考えないで一撃で撃破するだけを考えなさい」
シンジはそして考える。
(もし、はずしたらそこでゲームオーバーか・・・)
「わたしは・・・」
するとシンジの後ろにいたレイが不意に言った。
「わたしは碇君を守ればいいのね」
「そうよ」
「分かりました」
そしてシンジとレイはロッカールームに向かった。
ロッカールームではシンジとレイがカーテン一枚越しに着替えをしていた。
不意にレイが言い出した。
「わたしたち・・・死ぬかもしれないのね」
「死ぬのが怖いの?君は」
「・・・分からない、考えたことないから」
「そっか」
そして着替えが終わりレイがカーテンを元に戻す。
その不安そうな顔をしているレイに向かいシンジは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「君は死なないよ」
「何故そういいきれるの?」
「それは・・・女神が死んだら神様が困るだろう?」
「?」
レイは良く分からないという顔で首をかしげた。
だが、シンジは「いこう」と言いロッカールームを出て行った。
そしてその瞬間日本中のあらゆる場所で消えた。
今地球の外から日本を見れば日本は真っ黒であろう。
―タラップ―
距離を離れてシンジはあぐらレイは体育すわりで座っている。
「ねえ、碇君は何故エヴァに乗るの?」
「えっ?」
「ほら、この前にもわたしに聞いたでしょ?何故エヴァに乗るの?って」
「理由か・・・それは“神”になるためかな?」
「“かみ”?」
「そう神・・・な〜んて人は人以外にはなれないから無理だよ。理由は守りたいからかな」
「守りたい?」
「そう、皆が死なないようにするため、守る。それが僕のエヴァに乗る理由かな」
「そう」
「あ、時間だ。行こう」
「じゃあ、さよなら」
「綾波・・・またあとで」
シンジのその言葉にすこし戸惑っていたレイだったがすぐさまエントリープラグに乗り込んだ。
『ただいま零時零分零秒をお知らせします。ポーン』
―14式大型移動指揮車―
ここにマヤ、マコト、リツコ、ミサト、リリーナがいた。
この作戦では発令所ではなくここで指揮をとることになった。
そして先ほどのアナウスとともに作戦がスタートした。
『作戦スタートです!』
マコトが車内ぜんたいに告げる。
『シンジ君、日本中のエネルギーあなたに預けるわ!がんばってね!』
「大丈夫です。必ず勝ちます!」
『第一次接続開始!』
『第一から第80三管区まで送電開始!』
そしてレバーが前にスロットさせる。
少し電流が走る。
『電圧上昇中!』
『全冷却システム最大出力!』
『電圧安定!問題なし!』
『陽電子流入順調なり!』
『第二次接続開始!』
『全加速器運転開始!』
『強制収束機作動!』
『全電力双子山変電所へ!第三次接続問題なし!』
『最終安全装置解除!』
『撃鉄起こせ!』
その声と同時に初号機がライフルのレバーを引きヒューズを入れる。
安 空と表示されていたものが火 実装に変わる。
するとシンジの頭に何かが降りてくる。おそらく狙いを定める装置ろう。
『地球自転、及び重力の誤差修正+0.0009』
『電圧発射点まであと0.2』
『第七次最終接続!全エネルギーポジトロンライフルへ!』
マコトがカウントダウンする。そして6に差し掛かったところでラミエルに変化が起きた。
『目標に高エネルギー反応!』
『なんですって!?』
そしてカウントがゼロになる。
ミサトが叫ぶ。
『発射!』
シンジはトリガーを押す。
その瞬間ポジトロンスナイパーライフルが勢いよくラミエルに向かって発射される。
同時にラミエルも加粒子砲を発射する。
二つのビームがぶつかる直前に反発しあい狙いがそれる。
ラミエルの攻撃は近くの山にポジトロンスナイパーライフルの攻撃はラミエルの後ろの方に当たる。
そしてミサトたちがいた指揮車も少し吹っ飛んだ。
リツコが倒れて悲鳴を上げる。
その他の人たちも同じく少し耐えるようにしている。
そして倒れていたミサトが椅子をささえにしてすばやく起き上がり
『ミスった!?』
そしてその瞬間ラミエルのボーリングマシンがジオフロントに到達する。
『敵シールドジオフロント内に侵入!』
そのアナウスを聞いてミサトが叫ぶ。
『第二射急いで!』
そしてその言葉で初号機がヒューズを交換する。
『ヒューズ交換最充填開始!』
『銃身冷却開始!』
『目標に再び高エネルギー反応!』
『まずい!?』
その瞬間ラミエルから加粒子砲が発射される。
「ちっ!」
シンジは舌打ちして攻撃がくるのを待ったがそれは来なかった。
シンジが前を見るとそこにはたてを構えて初号機を守っている零号機がいた。
「綾波!?」
『盾が持たない!?』
『まだなの!?』
『あと十秒』
だんだん盾が解けていく。
「くっ、ブリザード!」
レイは自分のエレメントの力で盾を冷却した。そしてなんとか17秒以上もつことができていたが充填にはまだ時間がかかりそうだった。
『かまいません!マスター!エレメントの力最大で撃ってください!』
「そうか!!風流撃!!」
シンジのエヴァから放った風がポイトロンスナイパーライフルのビームと一緒に射出されそしてラミエルを貫く。
『よっしゃあ!!』
ミサトが完成をあげる。同時にボーリング・マシンは停止した。
そして零号機は倒れる。
「綾波!?」
初号機はエントリープラグが入っているであろう所のハッチを手で掴みとりエントリープラグを取り出す。
そして自分もエントリープラグから出てその零号機のエントリープラグに駆け寄る。
「うぐぅ・・・・ああ!!」
シンジは加熱しているであろうハッチを手動で開けた。
「綾波!」
「うぅ・・・碇君?」
「ほらね、死ななかっただろう?」
シンジはそう笑みを浮かべる。それにつられてレイも笑顔になる。
月が二体のエヴァを見つめている。
こうしてヤシマ作戦は完遂した。
つづく・・・