NEON GENESIS EVANGELION REQUIEM OF SPIRIT

 

 

―ネルフ本部・第二実験場・22日前―

ここでは零号機の起動実験が行われていた。

「これより零号機の起動実験を始める・・・第壱次接続開始

それと同時に接続が開始される。

「主電源、全回路接続」

「主電源接続完了、起動用システム作動開始」

平行四辺形の形をしたものが徐々に緑色に照らされていく。

そして零号機の頭についている緑色の球体が灯る。

「稼動電圧臨界点まであと0.5、0.4・・・突破」

「起動システム、第二段階へ移行」

「パイロットとの接続はいります」

「システムフェイズ2に入ります」

「シナプス挿入、結合開始」

「パルス送信、全回路正常」

「初期コンタクト異常なし」

「左右上腕筋まで能力伝達」

零号機の両腕に『プロトタイプ』の文字が英語で表示される。

「オールナーブリンク問題なし」

「チェック2550までリストクリア」

平行四辺形や長方形の形をした表示が端からどんどん緑色の光で灯る。

そして零号機の頭が少し起き上がり前を向く。

「絶対境界線まであと0.9・・・0.7・・0.5・・・0.4、0.3・・・」

ボーダーラインと書かれた平行四辺形を突破しようとしたそのときその前にあった平行四辺形と長方形が一気に光を失う。

「パルス逆流!!」

零号機がパイロットが操作をしてもいないのに抑えられている装置を無理やりはずそうと前に行きそうになる。

「第三ステージに異常発生!」

「中枢神経素子にも拒絶が始まっています!」

なおも零号機はそこから逃れようとしている。

「コンタクト停止!六番までの回路を開いて!」

「駄目です!信号が届きません!!」

そしてついに零号機はその抑えられている装置を無理やり壊してはずし実験場内で暴れだした。

頭を痛そうに抱えている。

「零号機制御不能!」

「実験中止!電源を落とせ!」

「はい」

リツコの手がガラスを破り『緊急時にはココ』と書かれているレバーを引く。

すると零号機のアンビリカルケーブルが自動的にはずれ地面に落ちる瞬間に火を噴き着地()する。

だが、零号機はなおも動いて実験場の部屋があるほうを向き徐々に迫ってくる。

「零号機予備電源に切り替わりました」

「完全停止まであと30秒」

零号機は頭を片手で抑えながらガラスに近づきゲンドウが立っている部分のガラスを殴る。

一発、二発と殴ってガラスは完全に割れはしないもののひびが割れてかけらが飛ぶ。だが、ゲンドウはそこをどこうとしない。

「危険です!!下がってください!!」

リツコが牽制せるがゲンドウは聞かず零号機を見ている。

そして零号機が頭を低くしたとき不意にハッチが開きエントリープラグが発射される。だが、それを見たゲンドウは叫んだ。

「いかん!!」

エントリープラグは天井を伝い壁に激突しそして角に激突する。

「完全停止まであと15秒!」

「特殊ベークライト急いで!」

リツコが叫んだ瞬間壁についている無数のハッチが開き小さい穴がありそこから紅色の液体が出てくる。

これは零号機の動きを止めることに使ったようだ。

そしてエントリープラグは床に勢いよく落ちる。

「レイ!?」

ゲンドウはいつものりりしい()態度とは裏腹に大声を上げる。

そしてベークライトの効果もあり零号機の足が止まったと同時に零号機の予備電源も切れる。

ゲンドウが落ちたエントリープラグに走って駆け寄り有に五十度は超えているレバーを握る。

「うぅ!!うわっ!!」

ゲンドウは一回手を離す。そのとき眼鏡が飛ぶ。だが、そんなことはお構いなしにレバーを再び握り力任せに回す。

「うぐあ!!」

そしてついに開きそこからLCLが出てそのあたりの床一帯がオレンジ色なる。

ゲンドウはエントリープラグに半身を入れる。

「レイ!!・・・・大丈夫か!?・・・・・レイ!!」

レイは頭から血を流してはいたが頷いた。

「そうか・・・・・・」

そして飛んだ眼鏡はその熱で『パキッ』っと壊れた・・・・・。

 

レ      第伍話

イ、

心の向こうに

 

綾波レイ14

マルドゥックによって選出された最初の被験者

ファーストチルドレン

エヴァンゲリオン試作零号機、専属操縦者

過去の経歴は不明・・・すべて抹消済み

 

 

 

―第三新東京市・某所―

使徒と戦った跡地とも言うのだろうか。先の戦闘で初号機が倒れたところにチョークのようなものでマークされている。

シンジとケンスケとトウジ、リリーナはこの前の使徒と戦ったところに来ていた。当然多数、というか大勢のネルフスタッフと一緒にである。

「これが僕たちの敵なのか・・・・」

「ほんまに気持ち悪いのが襲来してきよったでぇ」

「まったく、人騒がせだよな〜」

ケンスケ、人騒がせって・・・騒ぐ以上の問題だぞ。

それにミサトも加わる。ミサトも興味がありますって顔で使徒を見上げている。

そしてタラップの上にいるリツコに叫ぶ。

「どう!?なにか分かった!?」

「ふうむ・・・・コア以外はほとんど原型をとどめている、ほんと理想的なサンプルよ」

その顔はシンジたちにはどこか子供じみた顔に見えた。

「あれ?マスター、セーブは?」

「「セーブ?」」

トウジとケンスケが大声を上げる。無理もない、いきなりゲーム用語を言われたのだから・・・って違います。

「ああ、セーブっていうのは僕がつけてる腕時計の名前。本当はコンピューターで人工知能もついてる。あと何故関西弁なんだ」

「それはトウジと意気が合いそうだな」

「コンピューターと意気があってもな〜」

そこに小さい笑が起きた。

ちなみにセーブは現在リツコのサポートをしているのである。

そして五人は解析をしているリツコのもとに向かった。

「で、敵さんの情報はなにか分かったの?」

「これよ」

パソコンのディスプレイには『601』と表示されている。

「なんやこれ?」

「解析不能を示すコードナンバー」

「つまり訳分かんないってこと?」

「そういうこと・・・・でも、分かったことはこれよ」

そして次にディスプレイに表示されたのは黄色や赤や緑など多数の色がある箱のようなものだった。

「なんですか?これ?」

「これは使徒独自の固有波形パターン、構成物質の違いはあっても人間のそれと99.89%酷似しているわ」

「それって人間に近いってことですか?」

「そうとも言えるわね」

シンジがふと後ろを見ると冬月とゲンドウが破損しているコアを見ていた。

だが、ゲンドウの両手にはやけどみたいな跡があった。

「あの〜リツコさん?」

「なに?」

「父さんの両手やけどしていたみたいですけど」

「それは貴方がここに来る前、零号機の起動実験中パイロットがエントリープラグの中に閉じ込めれられてね、それを碇司令がエントリープラグから助け出したのよ」

「あの、父さんがね〜」

「ほんと信じられないわ」

―コンフォート17―

ここにはいつもの三人と一匹のほかに一人の客が来ていた。

リツコである。

「え〜また、カレー?」

シンジがなべを持ってみんなの前に出されたご飯の盛られた皿に彼を装っていく。

「お呼ばれされて文句いわない〜」

ミサトがもう五本目である・・・少々酔っ払い気味だ。

そしてシンジはミサトの皿がないことに気が付いた。

代わりのように皿が乗ったカップ麺が置かれていた。

「あれ、ミサトさんの皿は?」

「ちゃんと置いておきましたよ」

それをみたミサトが

「ああ!わたしはこれ」

そう言って乗せていた皿を取ってカップ麺のふたを開けてシンジに差し出した。

「これに入れちゃってちょうだい。どっばぁ〜っと」

シンジはわが目を疑っていた。まさか市販のカップ麺に自家製のカレーを入れるとは。

「ほ、本気ですか?」

「あら〜結構いけれるのよ〜市販のカレー味じゃあねこの味は出ないのよ〜」

シンジはカレーをその中に入れる。

そしてミサトは混ぜ合わせながらこういった。

「スープを少なめに入れるのがコツよ〜」

コツといわれても誰もマネしないと思う。

そしてズルズルズルと音を立ててラーメンを食べている。

その光景を見たシンジはもうどうでも良くなっていた。

そして三人はカレーを一口。

みんな顔色を変えない。

そしてリツコが一言。

「これ作ったの・・・ミサトね」

「・・・・・・はい」

「普通の味なんだけどこれって決め手がないわね」

「確かにそうですね」

「それにミサトさんはカレーしか作れないみたいなんですよね〜」

そしてミサトが座椅子の背もたれによっかかりながらシンジにビールをもう一本とお願いする。

そしてシンジがビールを渡すときに不意にリツコが

「あっ! 忘れるところだったわ」

シンジがリツコの方を向くとかばんの中をごそごそやって一枚のカードを取り出した。

「これ、レイの更新カード、今日渡すの忘れちゃって・・・明日本部にいくまでに届けてもらえないかしら?」

「ええ、いいですよ」

そしてシンジはレイのカードをじっと見つめていた。

それをみたミサトはからかうように

「あら〜シンちゃん・・・どうしたの?レイの写真をずうっと見つめちゃって〜」

「えっ?」

「もしかして・・・レイのこと〜!?」

「な、ち、違うよ!」

「また、またとぼけちゃって〜」

シンジはミサトの顔が少し紅葉してるのを見て床に音を立てて坐り

「もう!からかわないでください!」

「えへへ、まったくからかいがいのある奴〜」

そしてリツコが突っ込む。

「ミサトと同じね」

ミサトの顔はにやけ顔から一気に『げっ』って顔になる。

そしてシンジ、リツコ、リリーナは大爆笑した。

 

NEON

GENESIS

EVANGELION SPIRIT OF REQUIEM

EPISODE5

              ReiT(日本語訳:レイT)

翌日

―レイのマンション―

「綾波ってこんなところに住んでるのかな?」

そしてミサトに教えてもらった住所をもう一度確認する。

だが、住所は間違っていない・・・・。

もっともミサトの書いた住所が合っていたらの話である。

「まあ、いっか、違ったら電話して聞けばいいし」

ちなみにリリーナは現在本部でミサトに作戦の基本を教えてもらってる最中なのでここにはいない。

じゃあ、シンジは誰に電話するのであろか?

まあ、そんなことは置いといて、シンジはチャイムも鳴らした。

しかし音が鳴った気配はない。もう一度押してみるが鳴った気配はない。

そしてシンジは迷った挙句ドアをどんどん叩いた。

「綾波!居る!?」

するとしばらくしてからレイが出てきた。

目をこすっているところみると寝ていたのだろうか。

「あ、ごめん、寝てた?」

「うん、昨日ちょっと遅くまで本を読んでたから」

「そっか・・・・ああ、これ、綾波のカード」

そう言ってシンジはリツコに渡されたカードを渡す。

「なんか渡すのを忘れたとか言われて・・・・」

「そう、ありがとう」

レイは薄く笑うとちょっと待っててとシンジに言う。

シンジが五分くらい待っているとレイが第壱中学校の制服に着替えてきた。

「ど、どうしたの?急に?」

「ネルフに行くんでしょ?」

「そ、そうだけど」

「一緒に行きましょ」

「え、うん」

その後シンジとレイは地下に続くリニアに乗りネルフ本部へと向かった。

そして巨大なエスカレーターに乗っているときにシンジが不意に切り出した。

「綾波は怖くないの?」

するとレイは振り返り

「何が?」

「何がって・・・・今日零号機の再起動実験だよね?」

「ええ」

「怖くないの・・・?」

そのとき少し静寂があたりを囲む。そしてレイが重い沈黙を破った。

「たぶん・・・・怖いと思う・・・」

「じゃあ、何で綾波はあれに・・・エヴァに乗ってるの?」

「・・・・絆だから・・・」

「絆・・・・誰との?」

「みんなとの」

「絆か・・・・でも、絆っていうのはもっと簡単でとても綺麗なものだとおもうよ

「えっ?」

そのときエスカレーターが終わりを告げた。

「じゃ、再起動実験成功するといいね」

シンジはそう言うとレイの返答を待たずに駆けていった。

レイはさっきの言葉を考えつつも再起動実験のためにパイロットロッカーに急いだ。

そしてその後零号機の再起動実験は成功した。

だが、その瞬間新たな使徒が現れた。

「初号機は?」

「380秒で発進できます」

「よし、出撃だ・・・・シンジ」

「何?」

「・・・がんばれ」

「!!・・・・・うん」

シンジはゲンドウのその言葉を聞いて少し考えを変えた。

そしてエヴァ初号機は発進したがその直後目標の加粒子砲に胸部を撃たれた。

そしてネルフの発令所にシンジの叫び声が響く。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

『シンジ君!?』

『マスター!?』

 

 

つづく

 

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