新世紀エヴァンゲリオン 皆が居る未来のために
第二十一話 悲しみ
『総員第一種戦闘配置!!』
『対地戦用意!!』
『目標の光学映像・・・・出ます!!』
第二発令所に移った使徒は黄金に輝いている。何も知らない第三者が見れば綺麗と迷わず口にするだろう。
だが、形はそんなにきれいなものではなくジェルを形のある容器に流し込みそのまま固めたようなものだった。
人間のような形をした胴体に背中には丸い輪のようなものがついている。
「敵の攻撃方法は分からないの?」
現在第二発令所にはミサト、リツコ、ゲンドウ、冬月と三人のいつものオペレーターがいる。
「ミサイルで攻撃してみて」
ミサトが命令を出すと使徒にミサイルが飛んでいく。当たると思ったら突如空間を捻じ曲げたように使徒を避けて爆発する。
「A.Tフィールド!?」
「新しい使い方ね・・・」
「パイロットにすぐに召集をかけて攻撃方法が分からないから別命あるまで待機!!」
「でもどうやって攻撃方法を探るの?」
「・・・・・・あれしかないわ・・・ローエングリン砲台一番を敵の目の前に出して!!」
「発射するの!?」
「いいえ、でもそれを攻撃してくるはずよ」
「おとりに使うわけね」
「そういうこと」
チャージしていないローエングリン砲台の目の前に出現する。そして使徒をねらう、そのときだった。
突然使徒の背中にある輪が紫色に光ったと思うとそのローエングリン砲台を飲み込み消えた。
「いったい、なにが起きたの!?」
「待ってください・・・・・・・分析結果でました!!あの球体の中にあるものすべてを別の次元に飛ばす攻撃のようです、一種のブラックホールみたいなものです」
「ブラックホールね〜・・・・・・」
「どうするの?ブラクホールじゃエヴァが喰らったら一溜まりもないわ」
「・・・・・エヴァンゲリオン、全機発進!!」
シンジのセイントラディアンス、アスカのセイバー、レイのWガンダムゼロ、リュウトのガンダムZZ、マユのXX、フェイスのサザビーの合計六機の新型機が発進する。
レイのWガンダムゼロは従来のロングビームライフルの改良型とシールドにはバルカン砲ではなくビーム砲が二門ついている。鳥のようなものに変形可能。
リュウトのガンダムZZ(ダブルゼータ)はZの後継機でその外見はZとはかなり違う。武装は額にハイパーキャノン、これはハイパーギガ・ポジトロンスナイパーランチャーの簡易型で攻撃力は劣るがそれでも破壊力は申し分ない威力を秘めている。そのほかにはビームサーベル二本、これはキャノン砲にもなる。そして、ダブルビームライフル、これは同時に二発発射できる。
マユのXX(ダブルエックス)は背中のXの文字が二つになっている。そのためレーザー砲、レーザーブレードが一つずつ追加している。
フェイスのサザビーは真紅の機体で大型シールド、ビームライフル、ビームサーベル、ビームトマホーク(斧)そしてファンネルが付いている。
それぞれの機体にはシンジが開発した新型エンジン『ニュートロンパワーソウレイス』が積んでありシステム上稼働時間が無限となった。
話を戻そう。
シンジ、アスカ、レイがその使徒(以降はフェストゥムと呼ぶ)の左前にリュウト、マユ、フェイスはフェストゥムの右前にそれぞれ出現した。
「まったく次から次へとわいて出てくるんだから」
「仕方ないよ、俺たちは出てきたら殲滅するまでさ」
「シンジ、死ぬんじゃないわよ・・・」
「ふっ・・・・分かってるよ」
『目標の攻撃方法はブラックホールを出現させ消し去る方法よ。これを喰らったらエヴァでももたないわ』
「「「「「「了解!!!」」」」」」
シンジがホーリーで一発攻撃を行うがフェストゥムはさっきのA.Tフィールドで避ける。
「ミサトさん、どうやら格闘攻撃じゃないといけないみたいです」
『分かったわ・・・・シンジ君とリュウト君とアスカが使徒に攻撃を仕掛けて!!他の機体はバックアップ』
シンジは二本のエクスカリバーを構えるとフェストゥムに向かって一閃した。だが、フェストゥムは瞬間移動をして難なく避ける。
「な、瞬間移動!?」
「とにかく追い込むわよ!!」
「おう」
「分かってる」
アスカもビームサーベルを引き抜くとシンジに続くリュウトはダブルビームライフルで近づきながら攻撃をしかける。
他の三機・・・レイはロングビームライフルで正確にフェストゥムに攻撃を仕掛ける。マユは二つあるレーザー砲で攻撃を仕掛ける。フェイスはファンネルで一斉射撃を仕掛ける。
「ちっ、いい加減に死ねよ!!」
シンジはビームウイング、ビームブレイドを展開させてからだの中にあるS2期間を発動させる。シンジはS2機関が発動すると超人的攻撃能力を見せる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
すべての刃物で攻撃を畳み掛けるがフェストゥムは瞬間移動をして避ける。
「今だ、アスカ!!」
「まっかせなさい!!!」
次に移動すると予想されるところにアスカが待機して現れた瞬間アスカは切りかかった。すると金色の胴体に裂け目ができる、そこから緑色に輝く球体が現れた。
“コア”だ。
アスカがビームサーベルを突き刺した後すぐに後退しそこにレイ、マユ、フェイスの集中攻撃が入る。
だが、またフェストゥムは瞬間移動する。だが、瞬間移動した先にはリュウトのZZがいた。
「リュウト!!」
「おう!!」
リュウトは二本のビームサーベルを抜き二刀流でコアを完全に破壊する。
「どうだ!!」
『ナイス!!リュウト君!!』
フェストゥムは消滅した。だが、リュウトには消滅したさいにとてつもなく悲しい気分に襲われた。
(なんなんだ・・・・・この感覚)
ジオフロント
リュウトはここに一人で来ていた。
「あのとき・・・・・・・」
リュウトはフェストゥムにとどめをさしたときのことを思い出していた。
「あのときなぜか・・・・あいつの顔が・・・・」
「あいつって誰なの?」
リュウトはとっさに立ち上がり声のしたほうを見るがそこには真紅の瞳でツインテールの少女綾波マユが立っていた。
「ねえ、あいつって誰なの?」
「っ!!君には関係ないことだよ!!」
「関係あるわよ!!」
「!!・・・・・・なんで?」
「それは・・・・その・・・・・す、好きだからよ・・・」
「えっ・・・・・・・」
「だ、だから・・・・その・・・」
二人とも顔を赤くして言葉を発しなくなる。少しの間沈黙が続いた。
「「あ、あのさ?」」
二人とも見事にユニゾンしてしまう。
「「マユ(リュウト君)からさきにどうぞ」」
またもやユニゾンしてしまう。そのことでお互い笑い合う。
「ねえ、あいつって誰なの?」
リュウトは急に顔が引き締まるのを感じた、そしてゆっくりと話始めた。
「僕がここ・・・ネルフに来る前までは第二東京に住んでいたんだ」
「うん・・・それで」
「そこで僕は後に恋人となるある少女と出逢った」
「それで」
「僕と彼女は互いに愛し合っていた。そして僕の目の前で死んだ・・・・・・」
「どうして?・・・・・」
「あの日は銀行強盗にあったんだ。それで彼女は殺された。いきなり、見せしめだって・・・」
「それで?」
「僕は肩を撃たれようが手を撃たれようが足を撃たれてもものすごい憎しみでそれを紛らわしてその銀行強盗を殺した。バラバラにしてやったよ。」
リュウトの頬には涙が流れてきた。だが、少し笑っているようだった。
「泣かないで」
「くっ・・・な、泣いてないさ・・・・・・」
そう言うことで涙がぼろぼろこぼれた。マユは手を伸ばしそれを拭う。
「泣かないで・・・・・わたしでよければその子の変わりになってあげるから」
そのときマユはリュウトを抱きしめた。
「うあ!!っぅぁぁ!!」
「わたしはどこでもいかないから・・もう、泣かないで」
少し経ったあとリュウトはマユからそっと離れた。
「ありがとう・・・・・・・好きだよ、マユ」
「わたしも・・・・っていうかさっきわたしから言ったじゃん」
「あれそうだっけ?」
「そうだってば・・・もう!!」
「はは、悪い、悪い・・・」
「はぁ・・・・・これからもよろしくね?」
「ああ、こちらこそ」
そう言ってお互いの気持ちを確かめ合うように二人は唇を重ねた。
次回予告
使徒の現れる順番、そしてその姿形も違う。
そのことに気がついたシンジは今こそ皆に全てを打ち明けることを決める。
同時に第壱中学校に一人の転校生が舞い降りた。
その少年は『彼』だった・・・。
次回第二十三話 真実とシ者