新世紀エヴァンゲリオン 皆が居る未来のために
第十七話 欠けたガラス・・・
ネルフ本部
ネルフ本部ではさきほどのフリーダムの戦いの処理を行っていた。
「インパルスのロストとそれ以外のエヴァの左腕とバーニアの破損・・・・被害は甚大よ」
「そうね・・・まさか、フリーダムにあれほどのパワーが在ったとはね」
ミサトとリツコが会話しているがどこなく空気が重い。
「パイロットたちはどうしてるの?」
「・・・まだ、みんな夢の中よ。フェイス君以外はね」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「インパルスの残骸からシンジ君は見つかんないの?」
「まだよ・・・・・それにあの爆発じゃ見つかったとしても・・・」
「シンジ君は死んでないわ!!」
「受け入れなさい!!あの爆発じゃインパルスの残骸が見つかっただけでも奇跡だわ!!」
リツコはゲンドウの方を向き、こう叫んだ。
「司令!!サード・・・・いえ、シンジ君をMIAにします」
MIAとは戦闘中行方不明のことを指す。(確認してないけど戦死でしょうねということだ)
「・・・・・・許可する・・・・・・」
「司令!!」
ミサトが叫ぶがゲンドウは冬月に何かを言うと司令室に戻った。
病室
「う・・・・・ん・・・・」
アスカは病室で目を覚ました。そこにはフェイス一人が立っていた。
「お目覚めかセカンド・・・・」
「ふぇ、フェイス・・・・うう・・・!!!!!」
「傷が痛むのか?」
「あったりまえ・・じゃない!!・・・・はぁはぁ・・・・こ、こんな、大怪我してるんだから・・・・くうっ!!」
アスカは突然『はっ』と何かに気づき
「シンジはどうなったの!?」
「・・・・・・・・・・・・」
フェイスは俯き表情を暗くする。だが、それでも重い口を開き呟いた。
「インパルスはフリーダムのビームサーベルの攻撃を受けて・・・胴体が真っ二つになり爆散した・・・・」
「えっ・・・・・・・・・・!!」
アスカにはシンジが直接どうなったかを聞かなくてもどうなったか分かる回答だった。
「う、嘘よ!!あの、シンジが・・・・シンジが死ぬなんて!!」
「事実だ・・・・・あの爆発じゃおそらくは・・・・」
「私は信じないわよ!!シンジは死んだなんて!!」
「信じる、信じないはお前の勝手だがわたしは伝えた・・・・・・」
フェイスはそう言うとアスカの病室を出て行った。
アスカはフェイスが出て行ったのを見るとベッドに包まってそのスカイブルーの瞳から同じ色の雫を流していた。
「うそよぉ・・・・シンジが死ぬなんてぇ・・・・・・・」
ジオフロント
フェイスは一人ジオフロントの森に佇んでいた。
その瞳には何も移していないようだった。
だが、その真紅の瞳には怒れる炎のようなものが見えていた。
「・・・・ルシフェルか・・・・・・」
フェイスは学校で何度か話したシンスケを思い出した。
それを思い出した途端唇を噛んだ。唇からは血が出て口の中に鉄の味が広がる。
そして、上を向く。星はないと知っていながら星を見るために上を向いたような表情だった。
だが、その瞳から血のようなものが流れ出た。
それをフェイスは拭い、拭った手の平を見る。それは真っ赤な血だった。
「血の涙・・・・・か・・・・・・・・わたしは使徒に似た存在だからな・・・・」
「そう言うこと言うもんじゃないわよ、フェイス」
「シャウトか・・・・・・・わたしが気が付かないように後ろへ回るとはやるな」
そう言いながら後ろを振り向いたフェイスの左頬は血で真っ赤だった。
「ち、ちょっと大丈夫なの!?」
「大丈夫だ・・・・・これはわたしにとっての涙だ」
シャウトはそれを聞くとフェイスに近づき頬に手を伸ばし血の涙を拭う。
「涙を流すほど責任を感じてるの?」
「いや、それほど責任は感じてない・・・・アダムが居ないのならわたしがイブを守らなければならなくなっただけだ」
「ふふ、強がっちゃって・・・本当は今にも死にたいくらいなんじゃないの?」
「わたしがか?・・・・・・ああ、確かに今にも気が気でない・・・・倒れそうだ」
そう呟いているうちにフェイスは倒れそうになる。
だが、それをシャウトが支える。
「すまない・・・・・」
「いいのよ、フェイスはパイロットなんだからちゃんと体を休めときなさいよ」
「そうも、言ってられないだろ・・・・・今はセラフィムがいないんだ・・・・・」
「病棟に行ったほうがよくない?」
「いいや・・・・・・もう少しだけこうしていたい・・・・・・・」
「ったく・・・・・・・ふふ」
しばらくの間シャウトとフェイスの影は動かなかった。
次回予告
エヴァがキュベレイ以外動かない状態でついに現れた最強の使徒。
なすすべもなくジオフロントまで侵攻されキュベレイが反撃に出るが・・・・・・
そして、赤い世界に戻ったシンジは・・・・・・
次回 第十八話 聖なる輝き