ガンダムSEED if DESTINY

 

PHASE01−手に入れた力

 

 

オーブ開放戦

(ここはシンの一人称です)

オーブ開放戦・・・それは地球軍がいつまでも中立を叫び続けてきたオーブを地球の一国家としてザフトと戦えという話に反抗したからというのが一般的な解釈だと俺は思う。

だけど、このやり方は絶対間違っている!なんで戦争がいやで中立を保っちゃいけないんだ。

よく、父さんと話をしていたのを覚えている。そうあの悲劇がおこるまで・・・。

それは避難の途中だった。

空では激しい戦闘が行われていて鼓膜を破るんじゃないかと思うぐらいのすごい音がした。

地上でも同じことが行われていた。

ふと、一キロメートル横に進めばそこは戦場だった。

どうせ無事にプラントに渡れる・・・たぶん父さんや母さんやマユ・・・もちろん俺もそう思っていた。

だけど・・・・今でも鮮明に思い出せる。

白い機体が放った一発の閃光・・・それは・・・俺以外の家族をすべて殺した。

俺はそのときマユ・・・妹が落とした携帯を拾いに行っていてふっとんで全身打撲で済んだ。

だけど・・・家族は死んだ。

手元に残ったのは何もない。マユの携帯も吹っ飛ばされた。

ただ、マユから誕生日プレゼントとして初めてもらったルビーのついた首につけるアクセサリーだけだった・・・。

そしてその後終戦を迎えた。

俺はザフトに入隊し赤服となり最新鋭の機体を手に入れた。

これで守れるだろうか・・・大切なものを・・・?

 

 

 

CE.72・・・。

一年にもわたった地球、プラント間の戦争は第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて終結を迎えた。

そしてかつての悲劇の地・・・『ユニウスセブン』で地球軍とザフト軍の停戦条約が結ばれた。

再び世界は安定の方向に進もうとしていた・・・。

 

 

 

L4 アーモリーワン

ここはザフト・・・プラントの軍事コロニーである。

今日ここで最新鋭の船『ミネルバ』の進水式があるのである。

そういうことでいろいろごった返していた。

「・・・隊のジンは式典装備だ!!」

「なにやってんの!?それはD装備だろ!?」

「シグーなんか用意してどうすんの!?」

こんな叫び声が五万と聞こえてくるのである。

はっきり言ってうるさい。

ジンが所定の位置まで歩いている。そのジンを邪魔するように一台のジープが通り過ぎた。

「おっと・・!!」

運転手であるヴィーノ・デュプレは即座にハンドルを切りジンに蹴られるのを回避した。

「はぁ〜・・・なんかもうごちゃごちゃね」

その隣に座っている赤服のルナマリア・ホークは嘆いた。

確かに彼女の言うとおりアーモリーワンは文字通りごちゃごちゃであった。

明日に進水式があるなんて嘘のようだった。

「仕方ないよ。こういうのはじめてなやつもいるんだし。俺たちみたいに」

「やっぱり、部署どおり月軌道なのかな?」

「さあね」

そしてそのジープは止まった。

 

 

「服はそれでいいのか?・・・・ドレスも一応は持ってきているんだろう?」

オーブの国家元首の護衛であるアレックス・ディノは前を進む国家元首に小声で聞いた。

現在プラント最高評議会議長のギルバート・デュランダルと会う約束なのだ。

しかし、前を行く国家元首・・・カガリ・ユラ・アスハは

「なんだっていいだろ?」

「必要なんだよ・・・演出みたいなことも・・・バカに気取ることもないが、軽く見られてもダメなんだ」

カガリは言葉につまる。

しかし、そこで評議会直属のものと出会い案内される。

案内された部屋には議長と数人の議員がいた。

「これはアス代表、遠路お越し頂まことに申し訳ない」

黒い髪の長髪で柔和そうな顔をしているギルバート・デュランダルが現在の議長だった。

穏健派ということで皆からも慕われている。

もちろん国民からも・・・。

「お国の方は如何ですか?姫が代表となられてからは実に多くの問題も解決されて、私も盟友として大変嬉しく、また羨ましく思っておりますが」

「まだまだ、至らぬことばかりだ」

カガリはふうとため息をついてギルバートの向かいに座った。

「そして、この情勢下、代表はお忍びでそれも火急なご用件とは?一体どうしたことでしょうか?我が方の大使の伝えるところでは、だいぶ複雑な案件のご相談、ということですが・・・?」

すると、カガリはいきなり真剣な顔つきになり眉間にしわを寄せて

「…私にはそう複雑とも思えぬのだがな。だが、未だにこの案件に対する貴国の明確な御返答が得られない、ということは、やはり複雑な問題なのか?我が国は再三再四、

かのオーブ戦の折に流出した我が国の技術と人的資源の、そちらでの軍事利用を即座に止めて頂きたいと申し入れている」

「なのに何故、未だに何らかの御回答さえ頂けない?」

「・・・・場所を変えましょう」

そういうとギルバートがカガリを促した。

 

 

市街地に三人の少年少女がいた。

一人は緑色の髪のスティング・オークレー。一人は青色の髪のアウル・ニーダ。一人は金色の髪のステラ・ルーシェの三人が。

三人は歩いている。

そしてステラはあるところで止まった。

ブティックの服が展示してあるガラスの前である。

そしてガラスに映った自分の姿を見る。

いきなり踊りだす。

それを見てスティングとアウルは

「あれ何やってんだ?」

「浮かれてるバカの演出じゃねえの?・・・お前もバカをやれ。バカをさ」

「お前がやれ!」

そう言ってステラより先に二人は待ち合わせの場所に向かった。

しかし、踊っているとき道にまで出てしまった。

そのときある人物とぶつかった。

黒髪で赤い眼をしているシン・アスカである。

シンとステラは同時に別方向で倒れこむ。

「あ、いてて・・・」

「うぅ・・・」

だが、シンはすぐに起き上がりステラを起こした。

「あ、ごめん!君、大丈夫?」

「うぅ・・・大丈夫・・・」

「そうか、よかった」

そういうとステラを立たしてシンはじゃあ、というと自分の転がった荷物をまとめて連れだった肌が黒いヨウラン・ケントと一緒に歩いていった。

ステラはそれを懐かしいといった目で見つめていたがやがてスティングとアウルの後を追っていった。

 

ギルバートとカガリとアレックスと他の二人の評議員はMSが置かれているハンガーの近くを歩いていた。

アレックスはおいてあるMSをまじまじと見ている。

「アスハ代表は先の大戦でも自らMSに乗り戦われた勇敢な方だ」

カガリは黙りこみ何も言わない。

「また、最後まで地球軍の圧力に屈せず、自国の理念を貫かれたオーブの獅子、ウズミ様の後継者でもいらっしゃる。ならば今この情勢の中我々がどう動くべきか・・・

それは良くお分かりのことと思いますが?」

「我々は自国の理念を貫く。それだけだ」

「他国の侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない。ですか?」

「そうだ」

「それは我々も無論同じ想いです。そうであれたら一番いい。しかし、それは力がなければかなわない」

カガリの脳裏に前大戦の惨劇が少し過ぎる。

「だから、オーブも軍備を整えているのでしょう?」

「そうだが・・・」

「ならば何故、何を怖がってらっしゃるのです?あなたは」

カガリははっとする。

ギルバートの話はよく的をえているからだ。

「大西洋連邦の圧力ですか?オーブが我々に条約違反の軍事供与をしていると?だがそんな事実は無論ない。

彼のオーブ防衛戦の折、難民となったオーブの同胞達を我等が温かく迎え入れたことはありましたが。

その彼らが、此処で暮らしていくためにその持てる技術を活かそうとするのは仕方のないことではありませんか?」

その言葉を聞きカガリはギルバートの前へ出て

「だが、強すぎる力はまた争いを呼ぶ!!」

しかし、ギルバートは予想通りと言いたげな顔で静かにだが強くこう言った。

「いいえ、アスハ代表。争いが無くならぬから力が必要なのです」

 

六番ハンガー

ここにはザフトの新型であるカオス、ガイア、アビスが置かれていた。

しかし、それも今日このときまでである。

あの三人スティング、アウル、ステラが突如強襲してきたのである。

スティングが両手にマシンガンを持ち連射しアウルが上から降りてきて普通の銃を回転しながら正確にザフト兵を撃ち倒す。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

そしてステラがナイフと銃を持ち五人ぐらいのザフト兵を倒す。

終わり・・・なのだろうか?

あたりが静まりかえる。

それを見たらスティングの「よし、行くぞ!」の声をとも三人は武器をすべて床に落とし三機のコクピットに飛び乗る。

三人はコンピューターをいじっている。

「アウル、ステラどうだ?」

「OK、情報どおり!」

「・・・・いいよ・・・・」

すると、三機がゆっくり立ち上がる。

そしてカオスは緑、アウルは青、ガイアは黒色のカラーリングに変化する。

VPS装甲が作動したのだ。

だが、そのとき死んだと思われていた一人のザフト兵が最後の力を振り絞りアラートボタンを押す。

すると、アーモリーワン中に耳が痛くなるようなサイレンが鳴り響く。

自分のMSを整備していたルナマリアとレイ・ザ・バレルはそれに驚きすぐにMSの近くに行く。

カガリとギルバートもやはり驚いている。

「警報!?」

「どこからだ!?」

「六番ハンガーの新型か!?」

そう聞いたアレックスが六番ハンガーを見ると瞬時に爆発が起こる。

中の機体がビームを放ったのである。

「なんだ!?」

ギルバートが近くの評議員に聞くが同じところにいた場所の人間には分からないのである。

そのとき爆風がギルバート、カガリ、アレックス、評議員を巻き込む。

「うわっ!?」

「カガリ!!」

「議長!!」

アレックスはカガリを評議員は議長をそれぞれ守る。

「どうした!?・・・・あ、あれは!?」

ギルバートが六番ハンガーを見るとそこにはカオス、ガイア、アビスがいた。

「カオス、ガイア、アビス!?」

「まずはハンガーを潰す!MSが出てくるぞ!」

「ステラ、お前は左」

「分かった・・・」

ステラはガイアをMA形態に変形させるとビームライフルとビーム砲でMSを発進させようとしているハンガーを破壊する。

MSにビームが当たり二次爆発が起こりハンガーが粉々になる。

アビスはシールドのうち側に装備されているビーム砲で同じように破壊する。

カオスもビームライフルを使い同様に破壊する。

「発進急げ!」

「六番ハンガーの新型を強奪された!」

「MSを出せ!必ず取り押さえるんだ!」

「な、なんだと!?」

ギルバートはその言葉に蒼白な表情になった。

「新型!?・・・・・あ、あれは!?」

「が、ガンダム」

その顔、そのあご、そしてそのツインアイ。

それは間違いなくガンダムである。

そのころルナマリアとレイは倒れていた。

「なんとしても取り押さえるんだ!ミネルバにも応援を頼め!」

 

ミネルバ・ブリッジ

その報告を聞いて艦長のタリア・グラディスは副長のアーサー・トラインに

「アーサー彼を!」

果たして彼とは誰なのか!?

そしてその頃アレックスとカガリはアーモリーワン内を歩きあるものを発見した。

それはどう見てもMSだった。

それを見た瞬間アレックスはカガリ抱きかかえMSのコクピットに搭乗した。

「こんなところで君を死なせるわけにいくか!」

そしてそのMSのモノアイがともる。ザフトの新型MS『ザク・ウォーリア』が起き上がる。

その頃ミネルバでは彼の発進が行われていた。

「インパルス、発進スタンバイ。パイロットはコアスプレンダーへ。モジュールはソードを選択。シルエットハンガー2号を解放します。

シルエットフライヤー射出スタンバイ。プラットホームのセットを完了。中央カタパルトオンライン。気密シャッターを閉鎖します。発進区画、非常要員は待機して下さい。中央カタパルト発進位置にリフトアップします。コアスプレイダー全システムオンライン。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路クリアー。コアスプレイダー、発進、どうぞ!」

「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!!」

そう彼とはシンのことだったのだ。青い小型の飛行機が発進する。

「カタパルトエンゲージ。シルエットフライヤー、射出、どうぞ!
続いてチェストフライヤー射出、どうぞ!
レッグフライヤー射出、どうぞ!」

長いものがついているものとロボットの胴体のようなものと足のようなものが順々に発進する。

そしてそれが合体し一つのMSになる。

赤を貴重としたカラーリングだ。

そして苦戦するザク・ウォーリアの前に守るようにたつ。

バックパックに装備されている二本の対艦刀『エクスカリバー』を柄で繋げて巨大な剣にする。

そして構える。

シンは強襲をした三機に叫んだ。もちろん聞こえないと分かって・・・。

「なんでこんなこと!!・・・・・また、戦争がしたいのか!?あんたたちは!!!」

そして切りかかる。

これが彼の得た力。『インパルス』である。

この衝動の意味を冠するこの機体が今のシンの強さの象徴だった・・・。

それを見ていたアレックスにはギルバートのさっきの言葉が浮かんでいた。

 

『いいえ、アスハ代表。争いが無くならぬから力が必要なのです』