新世紀エヴァンゲリオン2 星を継ぐもの

第弐話『Zサイド』シンの決意

 

「考えたって始まらない。俺はもう、エヴァには乗らない」

そう決めるとシンは首を左右に振り毛布で顔を隠すと眠りについた。

 

 

 

 

次の日

いつものようにシンとステイルとミアーネはジャンク屋として金を稼いでいた。

使えなくなった機械や故障した機械などを修理して報酬をもらうのが一般的な仕事だった。

「よし!そろそろ飯にしようぜ!」

シンが二人に呼びかけた。

「おう!」

「ええ!今いくわ!」

三人は揃ってシンの家に向かった。

 

「おい!今日の昼飯はなんなんだ、シン!?」

「今日はチャーハンだ!」

「おい!マジかよ!?・・・久々に手抜きか?」

「文句言うんだったら食べるんじゃないの!作ってもらってるだけありがたいと思いなさい!」

調子に乗っているステイルをミアーネが制す。

そんな光景を見てシンは少し笑ってしまう。

「ふっ」

だが、その笑みはすぐにミアーネに気づかれた。

「何笑ってんのよ?」

「いや、別に。ただ、いつもと変わらないなと思ってさ」

そうだ、シンがエヴァに乗ったことはミカとネルフのスタッフ、そしてシン本人しか知らない事実。

間違ってもこの二人には教えることはできない。

シンはチャーハンを作り終えると火を消して三人分を盛り付けしテーブルに持っていく。

「おっできたな」

「じゃあ、食おうぜ。早く食って仕事再会しないと」

「うん」

そして三人で「「「いただきます」」」をしてチャーハンを食べ始まる。

そして三十分ぐらいしたあと三人はチャーハンをたいらげた後再び仕事に行こうとしたとき、

『ピンポーン!』

滅多に鳴らないチャイムが鳴り響いた。

シンが一人ドアに近づく、内心強い不安が過ぎった。

「はい、どなたですか?」

『ネルフの者よ』

シンは心の中で『やはり』と思った。

シンの予感は的中したということだ。

今は友人が二人いて聞かれてはまずいと思いシンはインターホンに近づきひっそりと

「今は友人がいるので・・・・・その、聞かれちゃまずいことでしょ?」

『かまわないわ、それにミカもいることだし』

「えっ・・・・・・・・・」

シンにはこの一言が意外だった。

ミカが一緒に来ているというのだから。

「・・・・・・・・・・・分かりました」

シンは鍵を開けた。

そして居間に二十代ぐらいの若い女性とミカが入ってくる。

「あれ、ミカじゃない!・・・・その隣の人誰?」

シンが座るように促すとネルフの女性とミカは床に座る。

「シン、一体なんなんだ?」

シンは返答に正直返答に困っていた。

だが、心のどこかで考え続けていたことだと思い言葉を口にした。

「実は皆に隠していたことがあるんだ・・・・・たぶん、これから説明されると思う」

そうシンが言った後すぐにネルフから来た女性が自己紹介をした。

「私はネルフの作戦部長である『マリュー・ラミアス』です。シン君は知っていると思うけどシン君はわがネルフ第一支部で建造した新型のエヴァである『ZガンダムMK−2』に乗り使徒を瞬時に殲滅したのです」

ミアーネとステイルが「えっ・・・」といった顔になる。

それもそうだ。いつも一緒に仕事をしていたシンが自分たちの知らないところでエヴァンゲリオンに乗っていたのだから。

そして操縦し、使徒を一体撃破したという。

「それで今日はどんな用事で来たんですか?」

二人は開いた口が塞がらない状態だったのでシンが控えめに聞く。

「シン君、あなたにはネルフのエヴァのパイロットとして訓練して使徒と戦ってもらいたいのだけれど・・・」

「そ、そんな・・・・・・」

シンはこぶしを握り締めて

「無理だ!俺にできるわけがない!」

「いいえ!あなたにはできるわ!」

意外にも反論したのはミカだった。

「無理なんだよ!!」

シンは急に家を飛び出す。

「待って!!シン!」

ミカもシンを負って飛び出す。

今も少し唖然としているミアーネとステイルにマリューは言う。

「あなたたちは行かなくていいの?」

「別にいいっすよ」

「あの二人はあれで結構仲良いし、すぐに説得されちゃうと思いますよ」

二人には分かっていた。

どうせミカのいいようにシンが軽くあしらわれるだけなのだから。

 

 

シンは一人歩いて丘に来た。

「ここにくればスッキリするような気がしたんだけど・・・・駄目か・・・・」

いつもここにくれば頭の中がスッキリするのだが今日のシンはスッキリしなかった。

シンは腰を下ろした。

もう、少し暗くなりかけていた。

「はぁはぁ、こんなところにいたの?」

シンが振り向くとミカが立っていた。

「ここに居ちゃ悪いのか?」

ミカは「いえ」と答えてシンの隣に座る。

「シン・・・」

「エヴァのことなら俺は乗らない」

「なぜ?」

「エヴァに乗ったら絶対にいいことなんてないはずだ!危険を承知であんなもんに乗って使徒とかって奴と戦うなんて!」

「シン・・・・だからあなたは駄目なのよ。まったく進歩がない」

「進歩がなくたっていいだろ!俺はこのままでいたいんだ!」

「・・・・・・・・分かったわ・・・マリューさんにそう話してくるわ」

ミカはそう言うと立ち上がりシンから離れていった。

シンは頭を丸め込みつぶやいた。

「本当は分かっているんだ・・・・自分が適任であることが・・・・・でも!!」

それ以上シンは何も考えなかった。そしてただそこから見える夕日を見つめていただけだった。

 

シンは一人街を歩いていた。

もう、太陽はすっかり隠れて月がでていた。

「俺は・・・なにやってんだろ・・・・・・」

そうつぶやいて月が明るく照らし出している道の真ん中で星が無数に光り輝く夜空を見つめた。

だが、浮かんでくることはエヴァのことだけだった。

「なんでこんなに考えてしまうんだろう・・・・・・」

「それはキミがそれを望んでいるからなんだ」

どこからともなくシンの問いかけにコタエが帰ってきた。

シンが声のしたほうを向くと綺麗な銀髪を肩まで伸ばしている赤い瞳の少年がいた。

「つきはでているかな?」

「えっ?」

シンはその言葉を不思議に思い空を見上げた。

そこには光り輝く満月があった。

「月ならでているけど・・・・」

「違う。君の心にだよ」

「えっ?」

再度シンは考えてしまった。

(心の中につき?)

ずっと考え込んでいるシンを見て少年は薄く笑うと

「キミの心は輝いているかと聞いたんだけどね・・・」

シンはその言葉に聞き覚えがあった。

「キミはもしかして」

「僕はコウジ。コウジ・ナギエル」

シンは「やっぱり」という顔をして

「やっぱり、コウジか!どうしたんだ?日本に行ってたんじゃないのか?」

「つい先日帰ってきたんだよ。ネルフからの予備パイロットとして」

その言葉を聞いたシンは絶句した。

(コウジまでエヴァのパイロットになった!?)

シンの頭の中は文字通り混乱していた。

だが、やっと言葉をさがして口にだした。

「どうしてエヴァのパイロットに?」

「適正が普通の人より高いし、みんなを使徒から守りたいと思ったから」

シンは思った。

コウジは俺の持っていない守りたいものがある。

「キミにはないの?守りたいもの?」

すでにコウジはシンがパイロットの候補だということを知っていたようだった。

「俺には・・・・・・・・・・」

シンの脳裏にミカの顔が過ぎる。

「まあ、ゆっくり考えなよ・・・・・・もっとも、時間はあまりないと思うけど・・・・」

そのとき街に警報が鳴り響いた。

避難警報である。

シンは振り向き

「コウジはネルフに向かうのか?」

だが、そこにコウジの姿はなかった。

「き、消えた?」

しかし、そのときシンにはある音が聞こえていた。

ドガン、ドガンという何か巨大な足音だった。

シンが海の方向を見るとそこにはこの前倒したはずの緑色の巨人が迫ってきていた。

ゆっくりと・・・。

「くそっ!!」

シンはネルフ第一支部があるであろう所へと走る。

そしてシンは心に決めた。

エヴァンゲリオンに乗ると・・・。

 

 

 

 

『乗らないと決めた。

でも、それは乗ると決めることの通過点でしかなかった。

意味のないことかもしれない・・・。

けど俺には確かに意味のあることだったんだ・・・・・』

 

 

 

 

次回予告

エヴァに乗ることを決意したシン。

しかし、そんなシンに使徒は容赦なく襲い掛かる。

絶望的な状況でシンはある勝機を生み出した。

第参話 逆転への賭け()

立ちはだかる使徒を打ち砕け Z!