新世紀エヴァンゲリオン2 星を継ぐもの
第参話『Z サイド』逆転への賭け
シンがネルフへ来るとマリューの案内によりケイジまで来た。
そこには先日シンが乗ったエヴァンゲリオン『ZガンダムMK−2』があった。
「これは、この前俺が乗った?」
「そうよ、まだ、正式名称を言ってなかったわね、ZガンダムMK−2よ」
「ZガンダムMK−2」
シンはその名を口にした。
なんとなくなつかしい響きがした。
というかむしろエヴァンゲリオンというもの自体がひどく懐かしく感じた。
「シン!!」
そのとき後ろから大きな叫び声がした。
見てみると左腕に包帯を巻いているミカの姿があった。
「ミカ!?どうしたんだ、その傷!?」
苦しそうに歩いてくるミカに対してシンは自ら駆け寄った。
「さっき・・・・・・使徒に・・・」
「えっ・・・・」
シンは後でマリューに事情を聞いてみるとエヴァに乗るためにここに来る前に怪我をしたという。
「俺がもっと早くここへ来ていれば!!」
シンは決意したという顔をしてマリューに振り向き
「マリューさん!!発進します!!」
「ええ!!分かったわ!」
シンは上着を脱ぐと小走りでコクピットに向かい座った。
そして電源を入れた。
するとZガンダムMK−2の目のようなところに光がともる。
だんだんとコクピットのレーダーやエネルギーメーターなどが点灯していく。
『発進いいわよ、シン君』
「分かりました・・・う〜ん・・・こういうときなんて言うのかな?」
誰に聞くでもないがつぶやいた。
すると無線から
『行きますだよ、がんばって、シン君』
「コウジ!!・・・・・」
その声の主は先ほど町で話したコウジ・ナギエルだった。
「シン・ユグドラシル、Z行きます!!」
するとケイジにあったZは勢いよくジャンプした。
そしてバーニアをふかして第三新東京市に出てきた。
目の前には緑色の巨人が立っていた。
「あれが・・・・敵!!」
『ええ、とりあえずは敵の様子を見て』
「了解」
Zはとりあえず相手の出方を見た。
先日相手にしたのだから攻撃パターンは分かっていた。
『シン君、敵の種類は『サキエルA型種』と断定したわ。この前でてきたものと同じよ。同化に気をつけながら接近してコアを破壊して』
「わかりました」
シンはZを駆り機体のバーニアを噴かせた。
サキエルA型種は顔のようなものから光を発した。
それは光線だった。
シンは咄嗟に盾を構えてその光線を防御した。
「よしっ!!今だ!!」
シンは腰に装備されているはずのビームライフルを取って攻撃しようと思ったが握るアクションをしてもあるはずのビームライフルは握れなかった。
「あ、あれっ!?ビームライフルが!」
そのときサキエルA型種が近づいてきてパンチを食らった。
「うわっ!!」
Zが町に近い砂浜ギリギリに倒れこむ。
「畜生!!・・・・マリューさん、ビームライフルは!?」
『ごめんなさい!調整中で配備できなかったの』
「今は?」
『今なら大丈夫なはず!!補給用ミサイルと一緒に飛ばすわ!』
「了解!!」
シンは補給用のミサイルが届くのを相手の攻撃を回避して待とうと思ったがそんな想うように行かなかった。
突如サキエルA型種がZに組み付いてきた。
「な、なんだ、これは!?」
するとサキエルA型種は顔のようなところから緑色の結晶が生え出していた。
その緑色の結晶はZにどんどん融合しているようにも見えた。
コクピットにはアラートが鳴り響いていた。
「なんなんだ・・・」
『まずい!!シン君、そいつは同化する気だ!引き離せ!!』
「同化!?」
緑色の結晶は徐々にZからも生えてくるようになっていた。
「くっそー!!!動け、動け!」
シンは必死に振りほどくイメージをするが機体が言うことを聞かなかった。
「あ・・・・・・くっ・・・・・・・・」
シンの意識はしだいに薄れていった。
だが、あるものが飛んできてそんなシンを救った。
補修用のミサイルだった。
そのミサイルがサキエルA型種の顔にピンポイントで突き刺さり同化を一気に解除した。
そしてミサイルが開くとそこには調整し終わったビームライフルがあった。
「これか!!」
シンは片方の手を伸ばしビームライフルを掴むと二発ぐらい発射する。
だが、サキエルA型種はのけぞるだけで致命傷にはいたらなかった。
「くそっ通用していない!!どうすれば!?」
シンは必死に頭をひねった。
しかし、いい考えが早々思いつくはずもなく、Zの足をつかまれ海に投げ飛ばされた。
「うわー!!」
だが、落ちる瞬間バーニアを噴かし海に着地した。
するとまた目から光線を発射してきた。
そのときシンははっとした。
「マリューさん、多少左腕に被害が出てもいいですか!?」
『かまわないわ!今は敵を撃破することを考えて!』
シンはZのバーニアを噴かしA.Tフィールド全開で突っ込んだ。
そしてサキエルA型種のA.Tフィールドと中和されまわりにプラズマ粒子が広がる。
「よし、いける!!!」
シンはZの左腕をサキエルA型種の顔に触れさせる。
すると一気に同化され左腕の自由が利かなくなる。
「うぅ!!」
『シン君、死ぬ気!?』
マリューのこの言葉は今のシンには届かなかった。
「もらったー!!!」
シンは右腕のビームライフルをコアに接触させる。
するとビームライフルの銃身は少しコアに飲み込まれたようになる。
「いっけー!!!」
シンはビームライフルを連射する。
するとコアごとサキエルA型種に穴があく。
サキエルA型種は少しの間だけ灰色に変わりそして紫色の球体を発生させたあと消え去った。
Zの左腕とビームライフルの銃身は先がなくなっていた。
「あ・・・・・・・ふう・・・・・・終わった・・・・」
シンはコクピットの中気を失った。
そしてシンが目覚めたのはネルフの病室だった。
シンはだるい体を無理やり起こした。
「うぅ・・・」
「目が覚めたかしら?」
シンは声のしたほうを見るとそこにはマリューが立っていた。
「気分はどう?」
「なんていうか・・・・・・少しだるいです」
「そう・・・まあ、あんな激しい戦闘をしたあとだからね」
「そんなに大暴れしたんですか?」
「覚えてないの?」
「はい、あんまり明細には覚えてないんです」
マリューは無理もないと思った。
相手の攻撃方法の一つである同化を逆利用して倒すなど早々想いつかないことだ。
解説しよう。
シンはあのとき左腕を部分だけ同化させビームライフルの銃身だけを相手の体に受け入れさせそこでビームを連射したのだ。
一見完璧に見える作戦だが、リクスはある。
相手が同化現象の侵攻の早いタイプであればビームライフルの銃身を受け入れさせる前に左腕から体を経由してすべてを同化されたら全てが水の泡となってしまう危険な作戦でもあった。
閑話休題
「あんな、自殺行為な戦い方はあまり納得できないわね」
マリューの声は少し暗かった。
シンはその声を聞き素直に謝った。
「す、すいません」
「・・・・・・・・そうは言っても私たちも初めからビームライフルの調整を済ましておけばよかったんだわ。それにあなたは使徒を倒したことだけでも褒めるべきだわ」
「よくやってくれたわ、ありがとう」
「・・・・・・・はい」
両親が日本にいるシンとしてはマリューの言葉はひどく温かく感じた。
「どうしたの?」
「いえ、人から褒めれたのは久しぶりなので」
シンは少し苦笑した。
『久しぶりに人から褒められた。
だが、その言葉は自分が何かを成し遂げた結果でしかない。
俺たちはそれが分かっていても
褒められるとうれしくなってしまうのかもしれない・・・。』
次回予告
エヴァに乗り使徒を倒したシン。
しかし、シンは友達に拒絶されるかと思った。
だが、友はそんなシンを暖かく祝福する。
そんなシンにはある気がかりなことがあった。
それは一体・・・・・。
第四話 傷ついた体に寄り添う瞳
用語
・使徒
使徒というのは2015年に起きた使徒戦役で人類と戦った謎の生物。
2016年に使徒はすべて倒したと言われていたが2020年には南極、北極から膨大なパターン青とA.Tフィールドを探知した。
そしえ案の定そこには膨大な数の使徒がいた。
2015年の使徒戦役に侵攻してきたのは一部のものだったのだ。
使徒は2025年今なお人間を恐怖に陥れている。
・同化
同化とは2020年に侵攻してきた一体の使徒が見につけていたこの世のものとは思えない攻撃だった。
緑色の結晶を相手に植え付けるような攻撃方法で相手を支配する。
そして思いのままに操れる。
同化された人間は目の色が金色になりA.Tフィールドを操れる人間と使徒の融合生物のようになる。
また、少しだけ同化された『半同化』というものもある。
・同化現象
使徒に同化行為をされた人間は徐々に同化されていく『同化現象』というものがある。
使徒が同化行為をおこなった直後にその同化行為をされている人間を使徒から引き離した場合これに当たる。
同化現象はエヴァに乗ったときなどは瞳がいやおうなく赤色になる。
そしてそれがどんどん悪化すると体から緑色の結晶が生えてくる現象。結晶化という現象もある。
遅らせる薬は開発されているが完全に治す薬はいまだ開発されていない。
同化現象が進むと同化と同じ人間になってしまう。