新世紀エヴァンゲリオン2 星を継ぐもの 

第四話『Zサイド』傷ついた体に寄り添う瞳

 

ネルフ第一支部・病棟

シンはいつものようにロビーで窓の外を眺めていた・・・。

まるで嘘みたいだった。

使徒が攻めてきてエヴァンゲリオンであるZガンダムMK−2に乗り使徒を倒した。

二体も・・・。

シンの脳裏に同化されたときの恐怖が再生される。

「何をやっているだ?」

後ろを振り向くとそこには茶色い髪の毛を長髪にしているコウジの姿があった。

「いや、ただ気分転換したかったから」

「そうか」

コウジは返事をするとシンの隣の空いている席に座った。

「なあ、このまえの戦闘のとき俺のこと君付けしてたよな?何でだ?」

「それは・・・・僕がこの町を出て・・・いうや、この国を出て一年か?・・・・だから、少し緊張気味だったんだ」

シンは苦笑しながら「そっか」と言った。

それに疑問を持ったコウジは

「なんだ?いきなり笑ったりして・・・」

「なんでもない。ただ、変わってないと思って・・・一年前と」

「そ、そうかな?僕なりに変わったと思ったんだけどな」

「エヴァのパイロットになったりしてか?」

「うん、エヴァのパイロットというよりネルフの一員になったことかな」

「そっか」

「うん・・・あっそろそろZMK−2の訓練をやるってマリューさんが言ってたよ」

「えっ?まだ、俺治ってないのに?」

「そのくらいの傷なら問題ない。もう、あれから一週間以上経っているからな・・・・・だってさ」

そう言うとコウジは廊下の方へ歩き去ってしまった。

だが、シンはこのときある重大なことに気づいていなかった。

「訓練の場所聞くのを忘れた・・・」

一種のバカである。

 

 

訓練所

シンはなんとかして訓練所についた。

そのなんとかしてという方法はすれ違う人に片っ端から聞いて回ったのである。

正直言って周りから見ててもかなりはずかしい光景である。

「まあ、来れたんだからいいでしょ!」

シンはマリューに怒られたときこう軽く受け流していた。

シンは黒い炉のパイロットスーツに着替えてZガンダムMK−2のコクピットに入った。

電源を入れるのは全てあちら側でやってくれる。

訓練のときは。発進のときは自分でやってくれとのことらしい。

そんなことまでやっていたら発進準備が遅れるのである。

シンはレバーを握った。

すると神経が接続されてモニターにZガンダムMK−2の見ているものが映る。

近距離における戦闘訓練、遠距離、中距離の戦闘もやった。

結果は近距離は文句なし、遠距離は少し努力が必要、中距離はごく普通。

特にビームサーベルの扱い方は文句なしということだ。

それを聞いたシンは訓練が終わったあと自宅へと向かった。

だが、シンはある人物を見かけた。

それは水色の髪の毛をツインテールにしている少女が立っていた。

それはシンも良く知っている人物だった。

「ミカ?」

「・・・・・・シン?」

シンはミカに会うのがあの戦闘のとき以来だった。

会えなかったというよりシンが病室に行くのを忘れていただけであった。

「久しぶりね」

「ああ、一週間前確か発進する前にケイジで会った以来だよな」

「うん」

「怪我はもういいのか?」

そう言ってシンはミカに近づき顔を覗く。

するとミカは赤面し少し顔を俯かせる。

それに伴ってシンもはずかしくなったのか頬を紅葉させ天井付近に目をそらした。

「怪我はもうだいたい治ってるの。次の戦闘には参加できるわ」

「そ、そうなのか・・・でも、あんまり無理するなよ?」

「分かってるわ。私の実戦配備は後方支援になると思うから。あなたはコウジ君とツインドッグで戦うと思うわ」

「ツインドッグ?」

「二人で一体の敵を攻撃する戦法よ。それぐらい覚えておいてよね」

最後の言葉が妙に嫌味っぽく聞こえたので去っていこうとするミカの怪我をしていない腕を少し強めに掴んだ。

「何よ?」

「覚えておけって言われても俺はネルフに入ってまだ一ヶ月経っていないんだぞ」

「それくらい分かってるわよ!」

「じゃあ、なんでそんなに嫌味っぽくう言うんだよ!?」

そこでいきなりミカのさっきまでの威勢はなくなっていた。

「どうした?」

「心配なのよ、シンがもし死んだらって思うと・・・・」

それを聞いたとたんシンも言葉を失った・・・。

だが、これだけは言おうと思いシンは言葉を口にした。

「俺だってお前が死ぬなんてこと考えたくないさ・・・人が死ぬってことはその人ともう話したり喧嘩したり笑いあったりできないってことだから」

もう、離れかかっていたシンと、ミカの腕はこのシンの言葉が終わったあと完全に離れていた。

「怪我・・・・早く治せよ」

シンはそう言うとミカが歩いていくであろう方向と反対の方向を向くと歩きだそうとした。

「できれば、あんまり早く治ってほしくないんだけど・・・・」

シンは歩き出す瞬間にそうつぶやいた。

「それどういう意味!?」

「怪我が治ったらエヴァに乗るってことだろ?それは同時に死ぬ可能性が高くなるってことだから・・・」

そういわれたミカは心が温かくなるのを感じていた。

 

 

シンが自宅へ向かうとミアーネとステイルがいつものように部屋でくつろいでいた。

「うっす、シン」

「ああ、ステイル、ミアーネも」

「勝手に上がらせてもらってるわよ」

「ああ、いいよいつものことだし」

シンは病院で使っていた着替えが入った少し大きめなバッグを部屋のすみにドサっと置くとテーブルの前に座った。

「なあ、シンはお前は結局どうしたんだ?」

「どうした・・・・・って?」

ステイルは少し控えめにシンに聞いた。

「お前、あの後エヴァに乗ったのか?」

「・・・・ああ、乗った、そして使徒を一体倒した」

「やっぱりね、ミカに言われてでしょ?」

「ちっ!」

シンは舌打ちした。

それを見た二人は「図星か」と思った。

シンとミカは昔からいつも一緒にいたのである。

どっちかが悩めばどっちかが相談するし、どっちかが怒ればどっちかがあやまるしという関係を維持してきたのである。

「これからジャンク屋の仕事も少しできなくなると思うから・・・訓練で・・・そのときは」

シンがその先を言おうとしたとき

「分かってる、二人で仕事をやってくれでしょ?そのぐらい分からないわたしたちじゃないわ。ね?」

「ああ、俺たちに仕事はまかせろ!しっかり、生活費を稼いでやるから!」

シンはこの瞬間改めてこの二人を友達に持ってよかったと思った。

だが、シンの幸せの時間も長くは続かなかった。

使徒は確実にネルフに向かって侵攻していた・・・。

 

 

 

『君が傷ついている。

そして傷つけたのは俺。

その傷を癒してあげるのも俺。

だから俺は君に寄り添う、いつでも、いつまでも、君が生きている限り・・・』

 

 

 

 

次回予告

新たに襲来した使徒。

それは前にシンジたちを苦しめた最強の空中要塞だった。

だけど、今のシンたちはシンジのときのように無力ではなかった・・・。

次回 第五話 スナイパー